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マネジメントって何? 考えさせられる「三丘セミナー」 大阪公立大学大学院経営学研究科 上野山 教授

 視聴覚教室が満席になりました。今年の「三丘セミナー」で一番人気の講座です。講師は、大阪公立大学大学院経営学研究科教授の 上野山 達哉 先生。会場は開始前から熱気に溢れていました。テーマは「マネジメントの誕生:ひとを動かす2つの考え方」です。

 三国丘高校では、よく、シェアード・リーダーシップという言葉を使います。リーダーは時と場合によって最適な人がつとめるのか良いという考え方です。「人を動かす」というのはリーダーシップに繋がる考え方ですから、生徒たちの関心が高かったのでしょうか...。

 先生が最初に「100年前の話をします」と仰ったのでびっくりしましたが、人はずっとずっと昔から人を効率的に動かす方法について考え続けてきたことがわかりました。今から約100年前の1923年9月1日に起こった関東大震災は経済界にも大きなダメージを与え、大阪や神戸が日本経済の中核を担うという機運に包まれていたそうです。その当時、三菱電機神戸工場というところで、作業効率についてある調査が行われました。これは、フレデリック・W・テイラーという学者の理論に基づくもので、各工程の作業を細分化して調べれば、一連の作業にどの程度の時間を掛けるのが最適かがわかるというものです。この工場では扇風機を作る作業工程を6つに分け、1日の標準生産量を計算したそうです。経営の世界では、そんな時代から、効率化について考えていたんだと思うと、不思議な感じさえします。

 上野山先生のお話は常に具体的で、根拠が明確だと思いました。私の印象に残っているのは、エドワード・デシ博士のやりがいに関する研究のお話です。学生を無作為に2つのグループに分け、どちらにも同じパズル(当時大流行していたというパズル)を渡したそうです。グループAの学生たちには何も言わず、ただ、パズルを渡しただけでしたが、グループBの学生たちには、パズルを1つ解く毎に報奨金を与えると告げたそうです。暫くそのまま放置し、相当の時間が経過してから、全体に「休憩時間」を告げたら...みなさん、どうなったと思います?

 作業開始前に特に何も言われなかったグループAの学生たちは、休憩時間に突入したにも関わらず楽しそうにパズルを続けていたそうです。では、作業開始前に報奨金の話を聴かされたグループBの学生たちはどんな行動をとったでしょう?...なんと!休憩時間に入ると同時に全員パズルを止めてそれぞれ休憩に入ったそうです。グループAは純粋に楽しむためにパズルに取り組んでいましたが、グループBはお金のためにパズルをするという作業になっていたということが言えそうです。これを、アンダーマイニング現象と言うのだそうです。自分が当事者(学生)だったら...と思うと、気持ちはわからないわけではありませんが、何となく不思議な感じがしました。

 先生のお話しは、次々と小気味よく進みます。では...どんな人が成果を出しやすいのか?という話になったのですが、これには3つの答があるそうです。ひとつめは「自尊感情が高いこと」です。自分は評価されていると信じることができていれば強いということです。二つめは「自己効力感が高いこと」です。自分はできるんだ!と強く思うことができれば、大きな成果が出るということです。三つめは「内的統制」だそうです。聞き慣れない言葉ですが、要するに、自分次第で結果は変えられると信じることができれば成果に繋がるということです。

 このブログを読んでくれている三丘生や中学生のみなさん、どうでしょう?特に3年生には受験を乗り切る大ヒントが語られたように思います。この3つの自己評価のことを"中核的自己評価"と呼ぶそうです。要するに、ポジティブになれば成果が出るということじゃないでしょうか?そこまで言ってしまうと無責任に聴こえるかもしれませんが、少なくとも"中核的自己評価"という考え方が確立している以上、たくさんの調査や実験で、その理屈が証明されているということは確かなようです。みなさん!自分に自信を持って頑張りましょう!

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