2018年に、生命科学の分野で世界的な偉業を成し遂げた、立命館大学生命科学部の 石水 毅 教授にお越しいただきました。石水先生は、NHK Eテレの子供向け科学番組「ヴィランの言い分」にもご出演された著名な研究者です。しかも、先生は三国丘高校第41回の卒業生ですので、受講した生徒にとっては大先輩にあたります。生徒にとって、こんなに幸せなことがあるでしょうか。お忙しい中お越しいただけるのも母校だから...私はそう思っています。
先生のお話は、とてもとてもわかりやすかったです。先生が受講した生徒に向けて一番最初にされた質問を聴いたときに、そう思いました。読者のみなさんも一緒に考えてください。「動物には背骨などの"骨"があるからまっすぐ立っている。じゃぁ、植物がまっすぐ立っているのはなぜ?」こんなこと一度でも考えたことがありますか?
答えは「植物は細胞壁を持っているから」だそうです。私は全く考えつきませんでした。その細胞壁の成分は"ペクチン"というそうです。"ペクチン"という物質は酵素によって合成されているのですが、これがわかればその機能もわかってくるということで、世界中で研究がされていた時期があったそうですが、なかなか特定できません。そんな中、シロイヌナズナという植物の27,655もある遺伝子の中から"ペクチン"を合成する酵素を特定したのが、石水先生なのです。"ペクチン"を使用した食品には、ハウス「フルーチェ」などがあり、身近な野菜で言えば、オクラの中に多く含まれるそうです。
石水先生の研究チームは、サントリーと共同で研究し、ポリフェノールの一種である"アピイン"という物質の酵素(アピオース転移酵素)も発見しました。"アピイン"はパセリやセロリに多く含まれ「抗酸化作用」や「昆虫忌避作用」「抗不安作用」などがあるのではないかと言われています。受験生のみなさん!石水先生の研究がさらに進めば、受験の不安にも打ち勝つ薬ができるかもしれません。乞うご期待!
研究の話の後には、三丘生の将来に深く関係するお話しもしてくださいました。まずは、理系分野で優秀な人材の特長です。挙げていきます。「自分で学ぶことができる」「自分で問題解決ができる」「未知領域に挑める」「研究課題を設定できる」「数年にわたって頑張れる」「国語力がある」「話し上手」。どうですか?最後の2つが意外なような気もしましたが、何かを考えたり伝えたりするには不可欠なのだろうと思います。
もう1つだけ、最後にお伝えしておきます。講演の最後に先生が教えてくれたことです。三丘生だけじゃなく中3生にも役に立つ話です。それは、『受験勉強を通してつけてほしい力』です。まずは「独習できる力」。将来的には未知のことに挑むので、自分で決めて学習することが求められるということ。次に「計画したことを完遂する力」。例えば、教科書1冊を細かく勉強することができる力ということ。最後に「継続力」。1か月、1年、さらに数年単位で頑張れる力...だそうです。勉強に集中するコツは環境を整えることだというヒントや、興味は勉強した後から出てくることも多いから、飽きずにやること...というアドバイスもいただきました。
とても柔らかい話し方ですが、仰っていることはビシッと的を射ている、石水先生は凄い方だと思います。今回の「三丘セミナー」に触発されて、夢を叶える三丘生が出てきたら素敵だなぁと思いました。ありがとうございました!