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『コーチング』について学ぶ教員研修を開催 「Help」より「Support」、「Teaching」より「Coaching」

 72日(火)に教員研修会を開きました。講師は、本校の探究活動の最大の支援者と言っても決して過言ではない、京都教育大学名誉教授の 村上 忠幸 先生です。村上先生に教えていただいた様々な理論やプログラムは、探究の授業CSの中核を占めています。

 本日の研修は講義だけではありません。ワークも含めた実践的なものです。参加した教員はみんな楽しみながら、時には悩みながら受講していました。テーマは「探究を実現するコーチングと省察」。全部ご紹介すると長文になるので、私が、ハッとさせられたことをご紹介させていただきます。

 1つめは「Help」と「Support」の違いについて。例えば、大きな穴の中に子どもが落ちてしまい、助けを求めている時の大人の対応は「Help」だそうです。助けてあげなくては...という思いは、大人から子どもに向けて発せられるもので、上下の関係。このとき、相手(子ども)は無力であるというのが前提になるそうです。これに対して、大きな木の枝にボールが引っ掛かってしまい困っている子どものそばを通り掛かった大人が持つ思いは「Support」だそうです。一旦子どもと同じ目線に立って、解決策を一緒に考えるところが「Help」とは根本的に違うそうです。

 なるほど!と思いました。例を挙げてもらったので実感として理解できました。その上で、さらに教えてもらったことは「Help」の考え方が「Teaching」で「Support」の考え方が「Coaching」だそうです。我々教員には日常的に「Teaching」をする場面も「Coaching」する場面もありますが、その違いをわかった上で、「Coaching」する場合は、今日の研修で学ぶことを活かしてほしいというお話しでした。

 他にも興味深いお話しがありましたのでご紹介します。このブログを読んでくれている三丘生や中学生のみなさんにも役立つ話かもしれません。「氷山モデル」の話です。氷山を例にとって人間の行動を考えれば、他者からも確認できるという意味で、海面の上に出ている部分が「行動」そのものだと言えます。では、水中には何があるのかと言えば、浅い方から順に「思考」「感情」「望み(ニーズ)」だそうです。心の奥底に「望み(ニーズ)」があって、それを叶えたいという「感情」があり、さらにその上には望みを叶えるための「思考」があって、はじめて「行動」が起こるというわけです。今まで考えたこともありませんでしたが、言われてみればそのとおりだと思いませんか?大きくて強固な「望み(ニーズ)」があれば「感情」も「思考」も強く大きくなり、現れる「行動」も揺るぎないものになるのか...と勝手に納得してしまいました。

 最後に、ALACTモデルのお話しをしたいと思います。私もこの言葉を今日はじめて聴きましたので十分理解しているか甚だ不安ですが...読んでみてください。ALACTモデルというのは、何かが上手くいかなかったとき、自分自身を見つめ直し学びを促すリフレクションモデルです。ベテラン教員が若手教員に学びを促す場面等が考えられます。リフレクションというのは「内省」とか「省察」を意味する言葉です。

 ALACTモデルでは、ある「行為」があったら、まず、その振り返りを行います。その上で「メタ認知」をし「コーチング」することにより相手に「行為の選択肢の拡大」を促すというものです。例えば、学級運営が上手くいかないなぁと思っている若手教員が居るとします。その場合、まず、なぜそうなってしまうのか振り返ることを促します。その上で行うのが「メタ認知」です。これは「何かを認知している自分を認知する」という意味です。これを行うために用意されているのが「8つの窓」という表です。ここで出てくるのが、さっきの「氷山モデル」です。自分と相手についてそれぞれ氷山の4つの部分を当て嵌めます。一番上は「行動」ですから、私は何をしたのか?という問いになりますし、相手を主語にして言えば、あなたは何をしたのか?という問いになります。こんな風に、自分(若手教員)と相手(自クラスの生徒)についてそれぞれ氷山の4つの部分を当て嵌めたら窓が8つ開いているような表ができあがります。これが「8つの窓」です。

 こんな方法を使って自分(若手教員)と相手(自クラスの生徒)を客観的に分析させ、その結果をもとにベテラン教員や教員同士がコーチングして学びを促すというのがALACTモデルです。私の説明がみなさんにどれだけ理解してもらえるか全然自信がありませんが、村上先生の解説はとてもわかりやすかったです。

 大人なら職場で、高校生や中学生なら部活動などの場面で、後輩から相談を受ける場面があると思います。ALACTモデルを知っていればそんな時に役立つと思うのです。例えば、相談に対して、すぐに自分の考えや結論を言ってしまうのは「メタ認知」も「コーチング」もできていない証拠です。良かれと思ってした助言も響かなければ意味がありません。

 今日、三国丘高校の先生方はたくさんのことを学びました。これらのことを、今後のより良い生徒対応や教員相互の良好な関係性維持に役立てていければと思っています。村上先生、ありがとうございました!

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