三国丘高校では、毎年、2年生を対象として「進路交流会」というイベントを開催しています。大学や大学院で学ぶ先輩にお越しいただき、進路選択の判断基準や今の生活のこと、受験勉強や研究のことなど、ありのままの自分を語ってもらうという催しです。生徒(2年生)が、少しだけ先の自分をリアルに想像できる貴重な機会になっています。
高校2年生である今の自分が描いている理想の学生生活とは違うかもしれませんし、研究の厳しさを知ることになるかもしれません。しかし、これも、三国丘高校が大事にしている「ホンモノと出会う」教育の一環です。感じ方は人それぞれですので、先輩たちの「今」が2年生の「未来」と重なるかどうかはわかりませんが、道標になることは確かです。進路指導担当の先生から3人の卒業生に投げられる鋭い質問に、ユーモアを交えて答える先輩たちの姿に、大人になったなぁ...と感心した先生は少なくないと思います。
いよいよ後半になり、生徒(2年生)からの質問を募る場面になると、何人もの生徒の手が挙がりました。「今日は貴重なお話を聴かせていただき、ありがとうございました」と前置きをして質問する様子に、さすがは三丘生と、嬉しい気持ちになりました。
実は、私が見学に行ったのは、理系の進路交流会です。近年の三国丘高校では、理系を選択する生徒数が増加傾向にあります。8クラスのうち、理系が6クラス、文系が2クラスという学年もあります。
この日、来てくれた先輩を紹介します。向かって左は、大阪公立大学理学部の藤原さん、真ん中が、京都大学工学部修士課程の斎藤さん、右が神戸大学農学部修士課程の山田さんです。やり取りの中から、私の印象に残ったものを少しだけ紹介します。
まずは、学生生活に関することです。斎藤さんが教えてくれたのは、研究には、大きく分けて、実験系と解析系があるということです。どちらも昼夜問わず多くの時間を費やすそうですが、斎藤さんが所属する解析系の研究室にはベッドがあって、そこで泊まることもあるそうです。私は実験系ですと言ってくれたのは山田さんです。実験系は夜中も実験をしているイメージがあるかもしれないけれど、私は家に帰りたいので、計画的に実験をしていますと教えてくれました。生徒から「どんなバイトをしていますか?」と問われたときの藤原さんの答には驚きました。科学実験教室のアシスタントだそうです。バイト中まで科学のことを考えているのは、藤原さんの進路選択が間違いではなかったことの証明だと思いました。他のお二人の答はというと、塾講師やラーメン屋さん、スーパー銭湯のスタッフなど多岐にわたっていました。「入学した学部と将来希望する職業は一致しているのか?」というシビアな質問に対しては、選択の幅が広いだろうと考えて工学部を選んだ。就職は博士課程を修了してからのことなので...という答えや、将来を見据えた進路選択をした方が良い。自分は食品開発がしたかったので、来春就職して食品開発に携わる。という答えがありました。
最後に、司会の先生が、3人の先輩方に「高校2年生に伝えたいことは何か?」と訊いたところ、口を揃えて「行事も部活も勉強も、できることはすべてやるべき!」と答えてくれました。この進路交流会を経験した2年生が、志を高く保って、先輩たちをロールモデルとして充実した高校生活を送ってくれることを願っています。あらためて、3人の先輩たちに感謝します。ありがとうございました!