生物飼育部主顧問の朝のルーティン@生物飼育部

 部員が学校に来れなくなって丸2か月ほどが経ちました。

 多くの学校の生物部では、顧問の先生方だけで生徒の代わりにお世話をしていることと思います。

(農業科のある学校では、ニュースで先生方が、という報道がされています。部活とは規模が違いますが...)

 枚方高校生物飼育部でも一部の生物は部員が里親として持ち帰っていますが、動かせない生物などは顧問で管理しています。

 以下長文です!昆虫等の写真が出るのでお気をつけください(写真のセンスがなく申し訳ありません...)。

■私の朝は冷凍赤虫の解凍から

魚や両生類は赤虫(ユスリカの幼虫)が大好きです。ペットショップなどで板チョコ状にして売っています。

そのまま与えると赤い色が出て水の濁りが早くなるので、解凍がてら流水で洗ってから使用します。

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■赤虫様様、魚たちのエサやり

赤虫をポンポン入れていくのですが、枚方高校の淡水120cm水槽には低層の魚(ドジョウなど)が結構います。

赤虫は軽いので、下にあまり落ちずに中層の魚たちにほとんど食べられてしまいます。

ので、沈下性のエサも一緒に入れます。ここではザリガニフード。

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タウナギも赤虫大好き

カネヒラの子どもたちも赤虫大好き

ギギも赤虫大好きP_20200501_083212_vHDR_On.jpg

カワバタモロコも赤虫大好きP_20200501_083130_vHDR_On.jpg

オヤニラミも赤虫大好きP_20200501_083116_vHDR_On.jpg

海水魚たちも赤虫大好きP_20200501_083042_vHDR_On.jpg

■目が冴える緊張のスッポン(大)エサやり

カメのエサやりは楽です。市販のカメフードや乾燥エビを入れるだけです。

ただ、元気な40cmスッポンは噛む力、スピードともに圧倒的なので細心の注意を払いながら...。

今日はミルワーム(ゴミムシダマシの幼虫)を買っていたので、みんな喜んで食べていました。

元気なクサガメ軍団

顧問の実家で繁殖させたニホンイシガメ兄弟P_20200501_083316_vHDR_On.jpg

スッポン(大)危ないので手を入れて撮影できないP_20200501_083508_vHDR_On.jpg

スッポン(小)このサイズでも噛まれると血が出るP_20200501_083844_vHDR_On.jpg

ミルワームはこんなのです。小動物のエサ用

■次はヤシガニに挨拶

食材用で売られていたヤシガニ。毎回威嚇

エサはパイナップル(198円+税)贅沢です

■温度管理は人間以上の昆虫たち

暖かいのが好きな子たちなので、恒温飼育器にみんな入っています。

まだまだ朝晩は寒いのですが、逆に暑くなると涼しい設定になります。

エサは昆虫ゼリーです。昆虫ゼリーは「ゼリースプラッター」という昆虫ゼリーを半分に切る専用のカッターがあるのですが、生徒に貸し出し中なので、普通のカッターで十字に切れ目を入れて与えます。

カブクワに関しては虫好きの卒業生に色々教えてもらってます。生徒から学ぶことばかりです。

サキシマヒラタ♂P_20200501_085534_vHDR_On.jpg

ゼリーに十字の切込みP_20200501_085642_vHDR_On.jpg

メスの産卵セットです

真ん中下の白い丸が卵です。孵化が楽しみP_20200501_085733_vHDR_On.jpg

■生き餌を採りに中庭へGO

飼育している子たちの中には基本生きているものしか食べない子もいます。

何を食べるかはそれぞれですが、飼育部で飼育しているのはタイワンサソリモドキがダンゴムシとワラジムシを、ヘイケボタル幼虫とセスジビルがモノアラガイ(タニシ)を食べます。

というわけで中庭で現地調達・地産地消です。

こういう袋の下がうじゃうじゃポイントP_20200501_115349_vHDR_On.jpg

ダンゴムシいっぱいいました!35匹とりますP_20200501_115403_vHDR_On.jpg

モノアラガイはビオトープにP_20200501_111600_vHDR_On.jpg

こんな小さなタニシです

■アイも育てる生物飼育部

生物飼育部では管理している畑があり、野菜などを育てて食べることもしています。

今は夏野菜の苗を植える時期なのですが、今年は難しそうです...。畑も二次遷移が始まりつつあります。

その畑で、毎年文化祭の藍染体験用に「アイ」を育てています。せめてこれだけはと思い顧問で種をまいておきました。

というわけで水やりです。

畑の一角。カタバミなどの雑草が増えてきましたP_20200501_113251_vHDR_On.jpg

アイの芽の写真を撮り忘れました...

ビオトープの藻類を少し除去したり、外置きの水槽の水の減りを確認して生物実験室に戻ります。

■ダンゴムシとモノアラガイ投餌

タイワンサソリモドキとセスジビルとヘイケボタル幼虫に先ほどとった生き餌を与えます。

タイワンサソリモドキは多湿環境が好きなので、霧吹きも忘れずに。

学名ビネガロンで、怒ると濃い酢酸を出します。P_20200501_084506_vHDR_On.jpg

石垣島産が7匹。抱卵個体も(おそらく)P_20200501_085439_vHDR_On.jpg

セスジビル。血を吸わないヒルですP_20200501_085857_vHDR_On.jpg

ヘイケボタル幼虫。写真下手ですみません。ゴミも取ります。

■本番はこれから!カスミサンショウウオ幼生168匹のエサやり!

プリンカップ1つ1つに1匹ずつカスミサンショウウオ幼生がいます。その数168匹。(孵化からほとんど死んでいません)

最後の大仕事です。府内で保護したカスミサンショウウオ幼生たちに解凍した赤虫を与えます。

これが大変で、カスミサンショウウオは動いているものしか食べないので、一匹ずつピンセットで、赤虫を一本ずつ口元までもっていって動かしてやる必要があります。

成長してきたカスミたちは赤虫一本では満足しないので、平均4本ぐらい...つまり、

「ピンセットで赤虫を1匹つまんで、カスミサンショウウオに一匹ずつ与える」を168匹×4セット繰り返します。

慣れてきても1時間半ぐらいかかります。成長はとても嬉しいですが、その分かかる時間は増えていきます...。

孵化後3週間ほどのカスミ幼生P_20200501_090720_vHDR_On.jpg

食べ方は獰猛P_20200501_090737_vHDR_On.jpg

■以上で朝のルーティン「は」終了!

ここから各水槽の水替えなどを行います。今日はタウナギ水槽があまりにコケだらけだったのでお掃除。

普通、魚の水替えは1/3ほど変えるのが定石です(水質水温の急激な変化を防いだり、バクテリアなどの関係)が、タウナギは水質変化にめちゃくちゃ強いので全部一気に水替えしました。

水替え中はバケツに隔離P_20200501_120932_vHDR_On.jpg

綺麗になりました!

■今日のお世話終了!

という感じで、朝はいつもどたばたしています。(もちろん他の仕事もしています!)

生徒たちが守ってきたものを守ることが顧問の大切な使命と思って、全国の生物部の先生方はきっと同じような苦労をされていると思います。

人間の経済活動が止まっても、生き物たちの生命活動は止まりません。

早く学校の生き物たちが生徒たちに会えるようにも、一日も早い終息を願うばかりです。

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