今宮和歌集2011 巻二

今宮和歌集2011 巻二

 

風物

せみがなく下からねらう猫の目が それでもなくよなつをこいしく   かあ

せんぷうきなくしてわかる秋のかぜ せみのこえがきえすずむしのこえ   かあ

引きこもり外へ出ずして風邪を引く夢の中では海へ行こうか   滝坂昌秀

気が付けば頬を流れるこの涙サーカス小屋の明かりに照らされ   俵万智子

目を閉じて蝉の声聞く昼下がりこのけだるさも夏の醍醐味   俵万智子

日傘さしペダルを踏んで進む道 行きも帰りも太陽を見る   晩夏茉莉(ばんかまつり)

風通る廊下の上で眠る猫 天に腹向け手足を伸ばす   晩夏茉莉(ばんかまつり)

蝉の声ドリルの騒音鳥の声 朝から響く目覚ましの音   晩夏茉莉(ばんかまつり)

坂の上小さく見える町と山 三笠の山で青空を見る  晩夏茉莉(ばんかまつり)

 

浴衣来て髪もセットして友と見たきれいな花火正夢になれ   詠み人知らず

せみのおと去年まではそうおんで今はありがたい目覚まし代わり   詠み人知らず

和服好きだけど機会があまりない着付け覚えて今度どこいこ   もちまろ

栗色のその毛にふれるわたしの手 老犬だけど大切なわんこ   もちまろ

大学のオープンキャンパス行ってみた根拠は無いけど受かる気がする   俵万智子

やる気だそう こう思うのは何度目かどこへ消えたの私の意欲   秋月

 

                                 < 巻三につづく 年度末の二、三月頃にアップ予定です >