第2回今宮読書会 報告

10月8日土曜日の午後、本校図書室にて、本校教養講座として2回目の読書会をもちました。

司会役の編集子を含めて10名の参加で、1時間余り、宮本輝『泥の河』を語り合いました。

舞台となった昭和橋辺りの街のようす、水上生活者がいた頃の話など、皆さん自分の子供の頃?の記憶がよみがえったようです。

『泥の』の冠がふさわしい、鉄、油、ドブといった大阪的風景に話題が及びました。

作品については、暗く重い作風だったという感想と、読後爽やかな希望を感じたという意見と、両方が聞かれました。

姉の銀子のけなげさと悲しさは皆さん印象に残ったようです。

馬車を引く男やゴカイ採りの老人の描写などから、人生というレースには、突然「死」に落ちるようなドンデン返しがあって、そうした不条理さがあらわれているという感想も。

司会者である編集子のスカタン発言や大ボケかましによる脱線もありましたが、

象徴性や暗喩表現にも話は及び、

喜一少年が蟹を燃やす場面は戦争に対する復讐である、

お化け鯉は喜一の死んだ父が見守っているのでは、

と様々な意見が交わされました。

そうした人生や死を全て呑み込んだ、どろどろとした『河』の物語である、と。

和気あいあい、あっというまの楽しい時間でした。

次年度もぜひともご参加をお待ちしています。次は何を読みましょうか。