てのひらの小説第四弾です。 店の前にたたずむ「私」。いったい何を待っているのでしょうか。胸を打つ一編をどうぞ。 待機 都 全く興味のない店の前でさっきからずっと、つまらない顔で突っ立っている。やんわりと風が吹いては、太陽が照りつけ、その度に目を細めるのにもそろそろ飽きてきた。薄手のカーディガンを羽織ってきたが、六月後半なだけあって、じわじわと暑い。人が途切れることなく行き交う...
2024年5月
年別一覧 >