春高生の力

 今週末に文化祭が予定されています。その文化祭に、3年生が参加しない文化部は、参加ができません。2年生で引退する部の場合は、条件があって、「文化祭以降に、発表の機会がない」場合は、参加することができるのですが、ライブや定期演奏会が予定されているので、今の大阪の感染状況や、学校に登校しないといけないことや学校行事を実施すること自体に不安を感じている人たちもいることなど、様々なことを考えて、本校は、大阪府のルール通りの対応をとっています。有志の参加については、3年生が参加する団体のみと制限もしました。もちろん、先生方も私も平然と決めたわけではありません。担当の先生方は、何度も話し合い、そして責任者の先生方と私は、タイトな時間の中で意見を交換しました。顧問の先生とも話をし、忙しい中、文化部の顧問会議も開催して意見を交換する場も持ちました。色々な意見がありました。先生方だけではありません。以前にここにも書いたように、「文化部が文化祭に参加できること」を求めて行動を起こした3年生、後輩のためになんとかならないかと話に来てくれた3年生、そして自分たちの気持ちを伝えに来てくれた吹奏楽部の2年生など、色々な生徒の声も聴きました。文化部と一括りにできず、それぞれの部に、それぞれの事情があることもよくわかりました。そういったことすべてをひっくるめて、決めたことです。決定後は、SHRで伝達したうえで、文化部の部員たちには、それぞれの顧問の先生から、説明をしてもらいました。納得できないと思うのも当然です。明快な説明を求められても、「なぜ体育祭の応援団はよくて、文化部の活動はだめなのか」「なぜ運動部の公式戦参加とその三週間前の練習は認められて、文化部にとって重要な文化祭への参加とそれに向けての活動が認められないのか」と聞かれても、理路整然と説明できる人など恐らくいないと思います。これを決めた大阪府対策本部会議の人たちも、生徒の皆さんが心から納得する説明はできないでしょう。ただ、感染拡大をなんとか止めるために、医療のひっ迫を抑えるために、どこかで線引きをしないといけないとなって、検討を重ねたうえで決められたことなのです。

 そんな中で、嬉しかったのは、今の感染の状況や、不安に思っている人もいることなどにも思いをはせ、自分たちの願いが叶わないことと折り合いをつけて、緊急事態宣言が解除されて、部活動ができる時に、校内で発表の場を持ちたいと伝えてくれた生徒たちがいたことです。誰かに(先生たちに)用意してもらって当然という態度ではなく、自分たちでそういう場を設定したいと、文化部の横のつながりも考えて、なんとかしたいと動こうとしている生徒たちがいることです。「中止や縮小ばかりで面白くない。もっと楽しませてほしい。」とか、「今まで通りのことが何ひとつできない。」という声には、その気持ちは理解できるし、そういうことを言うことを責めることはできないと思っています。でも、そんな気持ちと折り合いをつけて、自分たちにとって少しでもやれることをやろうと動こうとする姿は、本当に素晴らしいと思います。それこそ、春高生の力だと思うからです。軽音楽部の3年生の人たちとは話をしましたが、1・2年生のことは顧問の先生を通じて聞いているだけでしたので、直接話を聞きたいと思っていました。今日は午後から出張でしたので、明日でも顧問の先生にお願いしようと思っていたら、昼休みに2年生の部長さんが校長室に話に来てくれました。今の軽音楽部の1・2年生の気持ちや、部として臨むことをまとめて伝えにきてくれました。本当に嬉しかったです。

 まずは、文化祭、そして体育祭が無事に実施できることです。そして、部活動が解禁になったら、文化部の発表の場を設定することをみんなの力を合わせて、実現させましょう。春高生の底力を見せてください。私たちもそれに応えたいと思います。