• トップ
  • 2022年
  • 7月
  • 赤ちゃん学? 三丘セミナーで最新の研究成果にびっくり

赤ちゃん学? 三丘セミナーで最新の研究成果にびっくり

今年の6月12日の朝日新聞朝刊に「赤ちゃんがお仕置き?」という見出しの記事が掲載されました。要約すると"生後8か月の赤ちゃんは正義感を持っているということが大阪大学などの研究で明らかになった"ということです。思わず「ほんまかいな」と独り言を言ってしまいそうな記事ですが、この研究をしているのが今回の三丘セミナーの講師、鹿子木 康弘(かのこぎ やすひろ)先生〈大阪大学大学院人間科学研究科准教授〉です。とても気さくな先生で、話の端々に、この先生は研究をすることが本当に好きなんだなぁと思えるような話しぶりでした。

赤ちゃんを被験者とした様々な実験を紹介していただき、知見を導き出すまでの過程を詳しく解説してくださいました。例えば、特別な装置を付けた生後8か月の赤ちゃんに映像を見せ、映像内のキャラクターを見つめるとそのキャラクターの上に石が降ってきて罰せられるという仕掛けを施したところ、赤ちゃんはそれを学習し、次に、キャラクター2体のうち一方が他方を攻撃する映像を見せたらどうなるかという実験です。なんと!赤ちゃんは攻撃した方のキャラクターをじっと見つめ、その上にお仕置きの石を降らせてやっつけたというのです。最初に新聞記事の見出しとして紹介したのは、まさにこの実験のことです。

私が印象的だったのは、装置の開発によって研究の方法や得られる成果が大きく違ってくるというお話です。昔は、赤ちゃんの視線を測定する技術などありませんでしたが、これが可能になることにより研究の世界にもイノベーションが起こったということでした。ひとつの研究は多くの研究の成果の上に成り立っているものであり、一つの研究成果は他の多くの研究を支えているんだということが実感として理解できました。

この講義を聴いた生徒たちが、研究を身近に感じ興味を持ってくれたらいいなぁと思いました。今までの常識を変えてしまうような研究成果を世界に発信する研究者が、今日受講した三丘生の中から出てきたら楽しいなぁと私の中で想像が膨らむ素敵な時間でした。鹿子木先生、ありがとうございました!