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〈三丘セミナー〉仮想事例で実感!検事の仕事とバッジに込められた誇り

今日ご紹介する三丘セミナー(12月12日実施)は、検事の仕事に関するとてもリアルな内容です。講師をつとめてくだったのは、大阪高等検察庁総務部長で検事の大口 奈良恵 様と大阪地方検察庁公判部検事の 川西 薫 様です。川西検事は本校第43回の卒業生です。

 先の校長ブログでもご紹介したとおり、11月22日には、本校第30回のご卒業である甲斐行夫検事総長にお越しいただき、全校生徒にご講演をいただいたところです。

 今回はその時のお話をさらに深堀りした形で、検事のお仕事の実際をケーススタディの手法を交えたセミナーとして体験させていただけることになりました。

 示された仮想事例を簡単に纏めるとこんな感じです。堺市内のマンションの1階に住む女性(40歳)が帰宅したところ部屋に侵入している男と遭遇。男は女性に切りつけた後玄関から逃走した...。

 この事例に関するその後の捜査の経緯も示された1枚のペーパーが受講生徒全員に配られ、この事例に関する取り調べの様子が実演されました。検事役は大口部長、被疑者役は川西検事です。

 こんな場面はドラマか映画でしか観たことがありませんでしたので、勝手なイメージを持っていましたが、全く違うという感想を持ちました。黙秘権など被疑者の権利を説明し人権に配慮した事情聴取が静かに始まったという印象です。実演が終わった後、生徒がグループで考える課題が発表されました。「あなたが検事なら、この後、被疑者にどんな質問をしますか?」 10分間のシンキングタイムが始まりました。

 講師の先生に促され何人かの生徒が実際に被疑者役の川西検事に質問をしました。のらりくらりと話をはぐらかすような返事の被疑者に対して知恵を絞った質問を投げたのですが、真実に迫るのは相当難しそうだというのが正直な感想です。

 印象的だったのは、講師の先生が何度か「その質問の目的は?」と生徒に問い返していたことです。真実を究明するためには道筋をきちんと整えた上で目的のはっきりした質問をすることが求められるのだと知りました。このセミナーの中で教えていただいた"真相を究明するために必要な力"は次の5つです。生徒たちは、取り調べの場面を体験させてもらうことによってはじめて実感として腑に落ちたのではないでしょうか。挙げます。「聴く力」「想像力」「多面的視点」「疑問を持つ力」「根気と熱意」。

 講演の最後に、検察官のバッジも見せていただきました。

 検察官のバッチは,紅色の旭日に菊の白い花弁と金色の葉があしらってあり、その形が霜と日差しの組合せに似ていることから「秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)のバッチ」と呼ばれているそうです。「秋の霜のような冷たさ(=冷静さ)と夏の日差しのような情熱を持って厳正に仕事に臨む」と説明されていました。バッジに込められた思いを伺うと、今更ながら、検察官の皆様の誇りをより強く感じることができました。

 お忙しい中講師を引き受けてくださいましたお二人の先生方に心から感謝を申しあげます。今日のセミナーを受講した生徒たちは、検察官という仕事の魅力や苦労、さらには誇りについても十分理解できたと思います。この中から、検事をめざす生徒が出てくれば、こんなに嬉しいことはありません。以下の写真をご覧ください(検事バッジの写真もあります)。