入学式については感染拡大防止の観点からコロナ禍がはじまって以来ずっと保護者の参加人数制限をかけてきました。学校体育館での密集を避けるため外部の会場を借り上げて開催した年もありました。そんな経過を辿ってきた入学式ですが、今年度は保護者の入場制限を撤廃して開催することとなりました。中には、祖父母まで揃ってお越しいただいたケースがあったと聞いています。新入生本人の喜びは勿論のこと、これまで本人を支えてきた皆様にとっても特別な日になったのではないでしょうか。
今年の入学式の式辞は本当に悩みました。新入生が三国丘高校で3年間を過ごすにあたって一番大事なことは何か?という観点だけではなく、保護者の立場や我々教職員の立場から見ても頷ける目標みたいなものはないものかと考えました。とてもとても大事な3年間の最初の日に、この三者が同じ方向を向ける言葉はないものかと悩み尽くした結果私が出した答えを式辞にしました。ご一読ください。
令和6年度第79期生 入学式 式辞
ここにいる新入生は厳しい入学者選抜を勝ち抜いてきました。今日から三丘生として様々なことを学び、今度は大学受験に挑戦します。大学受験は高校受験と根本的に違います。大学は学部や学科によって学ぶことが全く違います。卒業後に選択できる職業の種類や研究の分野も全く違います。ということは、高校における進路選択は自分の人生を考えることに他なりません。その時に、自分の人生を自分で考えることができなければ、心豊かに生きていくことは難しいと私は思います。
長い人生の中でもこんなに大事な高校時代に保護者や我々教員が力を合わせてできることは何でしょうか。一言で言うと、自分の頭で考えさせることです。まだまだうちの子は頼りないと思っている保護者の方が多いかと推察しますが、子どもは日々成長しています。高校に入学した子どもを持つ保護者が最初に求められるのは、子どもを一人の人間として客観的に見ることです。保護者として、或いは我々教員としても、不安なことや心配なことは山ほどありますが、しっかりと自分の頭で考え、自己決定まできちんとする経験を持たせることが、子どもたちの自信に繋がります。良いタイミングで保護者や教員が関わり方を変えれば子どもはびっくりするほど成長します。我々は学校現場でそんなケースをたくさん見てきました。
では、学校は何をするのか。本校が大事にしていることが3つあります。「文武両道」「自主自立」「切磋琢磨」です。これを纏めて三丘スピリッツと言います。3つの中でも特徴的なのが「自主自立」です「自主自立」の立の字は、法律の律、即ち自分を律するの律ではなく「立」(立つ)という字です。誰かが決めたルールの中で自分を律するのではなく、自分の頭で考え判断して自分で立つ、即ち生きていくということです。三国丘高校ではこれを徹底して指導します。これはまさに、最初に申しあげた「自分の人生を生きる」ための練習です。自分で考えて自分で判断し行動する経験がなければ、社会に有用な人材はつくれません。
最後に、私から新入生のみなさんにエールを送ります。みなさんは、三丘生としてどんなことにも積極的にチャレンジし「自分の人生を生きる」とはどういうことか、自分で答を見つけてください。これは先輩たちも通ってきた道です。みなさんの高校生活が悔いのないものになることを心から願って式辞といたします。
「自分の人生を生きる」という言葉は「自分らしく生きる」という意味を含んでいると思っています。入学式でそんなことを言うお前は、自分の人生を自分らしく生きているんだろうな!と言われたら、すぐには答えが出ないかもしれません。これは、年齢や人生経験に関係なくすべての人が考えるべき根源的な問いなのかもしれません。今年の入学式については、本校PTAのホームページに写真付きの詳しい記事がありますのでご紹介させていただきます。ご覧ください。