希望の進路を実現するために、個人個人の努力が大切であることは言うまでもありませんが、チームプレーもとても重要です。グループの構成員がばらばらな場合と、協力関係ができている場合とでは、一人ひとりが何かを達成する度合いが大きくちがってきます。
もうひとつ大切にしてほしいことは、探究や探究基礎などを中心とした課題研究についてです。
2か月ほど前になりますが、私は、合衆国バージニア州の、ある高校について紹介した新聞記事に注意をひかれました。記者は、本校と同様、スーパーサイエンスハイスクールの研究指定を受けている東京と横浜の高校生7人とともに、同校を訪問しました。高校生の派遣は文部科学省によるものですが、その目的は、将来を担う研究者の卵を米国流の教育に触れさせることでした。
記事によると、同校は理系の名門公立校で、生徒の能力に応じて大学レベルの研究に取り組み、多くが難関大学へ進学するということです。しかし、記者は、その学校の真骨頂は有名大学への進学率ではなく、授業の一環として取り組む研究活動で発揮されると報告しています。そして、その一例として、同校が自作の人工衛星をNASAのロケットで打ち上げたことを紹介していました。
同校の学習内容は、千里高校に似ています。もっとも、本校ではまだ、人工衛星を打ち上げてはいませんが... いずれにしても、高校における課題研究の重要性についてはよく理解してもらえるのではないでしょうか?
ところで、この記事には、もうひとつ注目すべき箇所がありました。それは、同校への入学希望者についてです。記者は、難関の入試を勝ち抜いて入学する生徒の6割以上が、韓国、中国などアジア系であると報告しているのです。
これまで、同地域では、暗記中心の入試に重きが置かれていると思われていましたが、今、それは大きく変化しているようです。東京大学などにおける入試改革の動きにも、このような背景があるのではないでしょうか?
皆さんにはぜひ、本校の課題研究を大切にするとともに、これまで皆さんが取り組んできた研究等について1・2年生に引き継ぎ、その質を高めるよう努めてほしいと思います。