「開かれたことば」で話そう!

 本校の教育の柱のひとつは、国際性の育成です。校長ブログ第3号では、国際文化科の情報誌"What's Up!"に寄せた記事の抜粋を掲載します。同誌は、国際文化科が定期的に作成し、生徒諸君に配信しているものです。

 

 

 以前、米国での短期留学を終えて帰国した高校生に、留学の感想を尋ねたことがある。彼女の答は、「楽しかったけれど、つらいこともあった」というものだった。何がつらかったのか聞いてみると、「学校の行き帰り、同級生がミュージシャンやタレントについて楽しそうに話をしていたけれども、自分にはまったくついていけなかったこと」という答が返ってきた。

 

 高校時代というのは、お気に入りのミュージシャンやタレントについての会話を楽しみながら、友だち関係が強くなっていくものであろう。また、高校生の留学は、多くの場合、留学先の学校生活を体験しながら、ことばを学び、生活や文化に触れることを目的にしているものである。だから、留学中の高校生にとって、同級生が交わす会話に入り込めないのは、つらい体験であるに違いない。

 

しかし、もし、留学先の生徒たちが、日本語や、日本の生活と文化に興味津々であったとすれば、彼女はつらい思いをせずにすんだのではないだろうか。つまり、同級生が、仲間うちだけではなく、彼女にも通じることばで話をしていたならば、ということである。言い換えると、学校の行き帰り、彼女の同級生が「閉じたことば」ではなく、「開かれたことば」で話をしていたならば、彼女はきっと楽しく過ごせたであろうということである。

 

 このことは、本校が海外の高校生を交流やホームステイなどにより受け入れる場合にもあてはまる。本校生が「開かれたことば」で話をするならば、お互いの交流と友情はより深まることであろう。What's Up!が、そのような「開かれたことば」で満たされることを期待している。