12月14日(水)

<全校人権学習>

昨日、高槻現代劇場にて「全校人権学習」を行いました。

NPO法人テラ・ルネッサンスの鬼丸昌也氏をお迎えして、90分間にわたるお話をして頂きました。世界の現状、今までの経験、そして皆さんに考えて欲しいこと・・・さまざまな視点から話をしてくれました。印象に残っているのは、皆さんの前で熱心に心から話をする姿と、そこに惹きつけられている皆さんの姿です。

要点はいくつかあるのですが、大きく二つです。人つは「子ども兵」のことです。もう一つは「東日本大震災に関わる活動」についてです。

まず「子ども兵」です。中には皆さんとに同じ年齢の子どももいます。驚いたのは、最年少で5歳というところです。世界にはさまざまな事情があります。主として、ウガンダのことを話していました。首都のある南部地域と北部地域での差、そして、北部では政府軍と神の抵抗軍との戦いが今なお続いていること。そして、神の抵抗軍は地域の村を襲い、子どもを兵士として連れ去ります。

学ぶことすらできず、人を愛することもできず、家族とも離れ、自らの意思とは無関係に兵士として戦う。戦場で戦うだけは兵士ではなく、料理をする子、物品を運搬する子、それら全ての子どもたちが「子ども兵」なのです。

なぜ、これからの未来を託すことのできる子供たちを兵士にするのか。戦乱の根源には、豊富な資源があります。例えば、コンゴでの戦乱は、「レアメタル」「金」「プラチナ」を確保するために戦う。

そして、これらのものは、私たちが使用している携帯電話やスマートホン、テレビなどに使われていた。そして、私たちも、知らぬ間に戦争の結果得られたものを使っている。知っているか、知らないかで使い方が変わります。血塗られたものを使用したいでしょうか。使用したくなければ、やることは一つです。

戦争で得られていないところで手に入れられたものを使用した物品を買えばいいのです。今「日本製」のものには、戦争で得られたものは使用されていないそうです。誰かが動いたら、企業が考えたのです。確かにその通りだな、と痛感します。そして、ここでのまとめの一つに、こんな話がありました。

「個々人の力は微力だが、無力ではない」

「何が問題であるかをしっかりと把握して、問題を言い続けることが大切である」

ということです。そのためには、判断する正しい目を持つべきです。思っているだけではダメなんです。二人以上の仲間とともに、歩んでいくことが必要なんです。

さて、テラ・ルネッサンスでは、今まで194名の子ども兵を助け、社会復帰させたそうです。その過程は「能力向上」「心理的支援」「商売をする」の三段階に分かれ、最終的にはお金を自ら稼ぎ、自立するところにあるのだそうです。支援を受けると、

収入は50倍以上(平均128円→平均7008円)

周りとのつながりは約3倍(26%→84%)

自尊心は約1.5倍(43%→73%)

に向上するそうです。結局、商売をしてお金を得るには「信用を得る」必要があります。信頼があるということは、「周りに多くの人が集まっている」ということです。そして、その結果

「今日この分誰かに必要にされたんだ」「今日はこの分誰かのためになったんだ」

という気持ちを得ることになり、明日への力になるんです。人は常に誰かに必要にされたいという気持ちを持っているはずです。その心に素直になれたらいいのです。そして、いずれ自分で目標を決めて進むことができるようになるはずです。この、テラ・ルネッサンスの現地スタッフにトシャ・マギーという人がいるそうです。元「子ども兵」です。その人は、自らが子ども兵から救ってもらったという思いを持って、2011年3月11日に東日本大震災が発生した際、多くの支援をしてくれたそうです。

そして、現地の元子ども兵が、自らの生活も苦しいにも関わらず義援金を出してくれたそうです。そして、その後日本はアフガニスタンに次いで世界中から多くの支援を受ける国になりました。

自分のためにではなく、誰かのためになる。きっと、自らが苦しみを知っているから、絶望を知っているから行動する力になったはずです。そして、元子ども兵のトシャ・マギーさんは、言ったそうです。

「日本にいるあんたは何をするんだ」

と。支援とは「お金のある人が貧しい人にするものではなく、問題を解決するために進めていいくプロセスなんだ」「自分自身をよくしていくことが支援なんだ」というところに行きつきます。的を得ています。そして、よく口にする「私たち」という言葉の意味です。「たち」とは「誰」なんだ大切なのは「私は何をするのか」ということのはずです。まさに鋭い視点です。今後、そういう視点で考えていきたいです。

ところで鬼丸氏は東日本大震災の支援として、大槌町のおばあさんたちの支援をしました。プロジェクト名は

「大槌復興刺し子プロジェクト」

です。地域の文化を引き継ぎ、活かしながらいかに自尊心を持って取り組めるか。やはり分析力は必要ですね。

最後に、トシャ・マギーさんと石丸さんの言葉です。

「絶望に包まれていても、明日はいい日になる」

「全ての人に未来をつくる力がある」

という言葉と、鬼丸氏からの三つの提言で終わりにします。

①事実を知ること →自分の大切なものに目を向けること

②できることを実践すること →同じことを心こめて繰り返し、平和は習慣から勝ち取ること

③周りに思いを伝えること →大切な人に自分の言葉で伝えること

という言葉と「良きことは、カタツムリの速度で動く」という言葉を憶えておいてほしい、というお願いをしておきます。(少しずつでも物事は必ず変わる)

ここで話をされた内容を思い出しながら、常に心のどこかで実践を繰り返してください。私にとっては、いい講演会でした。もっと話を聞きたい、そしてトシャ・マギーさんの話を聞きたいという思いになりました。