12月24日(火)、本校体育館で、令和6年度2学期終業式を行いました。校長挨拶の後の、2学期中の部活動等で入賞したみなさんの表彰では、今回も数多くのみなさんの活躍を紹介することができました。冬休みは短いうえに、その中に年末年始があるため、北高生のみなさんも、なにかと忙しい時期かもしれません。けれど、忙しい中でもほっと一息つける時間を見つけて、今年を振り返ることができるといいですね。
以下は、終業式に、私からみなさんへお話ししたことの抜粋です。
~今日、みなさんに何をお話ししようかと考えながら、その昔、私がお茶のお稽古をしていた頃のノートを何気なく見ていると、「利休七則」という、千利休がその弟子に、茶の湯の心得として伝えたとされる教えが目に入りました。
今、改めてその「利休七則」を見ていると、特にその中の5番目、6番目、7番目にあたる、「刻限は早めに、降らずとも傘の用意、相客に心せよ」は、茶の湯の心得ではあるけれど、私たちが日々を幸せに暮らしていくための知恵でもある、という気がしてきました。
まず「刻限は早めに」とは、単に時間厳守、遅刻厳禁、という意味ではありません。どんな場面でも早め早めに自分の中の時計を進めておくと、それが心の余裕となって、なにか不測の事態が起こっても、焦らず平常心で対応できる、ということなのです。
私は、今年度は、できるだけ毎朝、みなさんと朝のあいさつをしよう、と、生徒玄関に立つことが多くなりました。限られた時間ではありますが、私にとってはみなさんとあいさつを交わすことが、とても楽しみで、元気の素になっています。そして、登校してくるみなさんとあいさつを交わしながら、「あと5分だなあ。」と思うことがあります。さて、なんのことかわかりますか。そうです。あと5分早く学校に到着すれば、余裕が持てるのになあ。という意味です。さすがは北高生だと思うのは、8時35分を過ぎて、正門を通る人はほんの少数です。確かに、遅刻をしなければ、それでいいのかもしれませんが、私はせっかくなので、北高生のみなさんには、ぜひ、「余裕」を持ってほしいな、と思うのです。これは単に「5分間」という時間の余裕という意味ではなく、「5分間」から生まれる心の余裕です。
次に「降らずとも傘の用意」ですが、これは、なにもむやみに心配をしろ、ということではなく、むしろ起こるかもしれないと分かったことには、その準備が無駄になっても備えをしておきなさい、という意味です。備えをしておくことで、何が起きても臨機応変に対応できるということです。日常のちょっとしたことにも、あるいは災害等に対しても言えることですね。
そして、「相客に心せよ」。「相客」というのは、お茶会の席でともに客となった者どうし、すなわち同じ場所に居合わせた者どうし、ということになります。例えばクラスメイト、部活動の仲間、家族、職場の同僚、その「相客」に対して「心せよ」、心配りをしなさい、という意味です。自分だけが得をすればよい、楽しめればよいのではなく、同じ場所に居合わせた人みんなが気持ちよく過ごせるように、自分がどのような行動をとればよいのかを考えなさい、お互いに気遣い、思いやる心を持ちなさい、そうすることによって、その場をより素晴らしいものにすることができる、ということではないでしょうか。
「刻限は早めに、降らずとも傘の用意、相客に心せよ」どれも一見簡単そうに見えて、なかなか奥が深いことです。私自身もこの言葉を心に留めて努力したいと思います。みなさんもぜひ、この冬休みに、お茶でも飲みながら、3年生、2年生、1年生、それぞれの立場で、一度じっくり考えてみてください。そして、実行してみてください。そうすることで、何気ない日常の中に、充実した何かを見つけることができる気がします。また、「利休七則」の今日紹介した以外の教えも、興味がある人はぜひ、調べてみてください。
では、みなさん、年末年始の慌ただしい中ですが、自分のペースを守り、体調管理にも気を付けて、1月の始業式には、また元気な笑顔を見せてください。それでは、少し早いかもしれませんが、良いお年をお迎えください。~