今宮読書会 報告 『思い出トランプ』

本年度も今宮教養講座のひとつとして「今宮読書会」を企画しました。

6月23日土曜日の午後、本校図書室にて、向田邦子の『思い出トランプ』をとりあげて、本年度第1回の読書会をもちました。通算で第3回目です。

参加者は、司会役の編集子を含めて7名。
先ずは収録作品13編のなかでいちばん印象に残ったものをお一人ずつ挙げてもらいました。


『かわうそ』、『だらだら坂』、『はめ殺し窓』、『マンハッタン』、『犬小屋』、『大根の月』、『ダウト』。
人気投票のつもりで訊いたのが、7人7色。皆さん違う作品を挙げたところがおもしろいですね。

1篇ずつ、推薦者の弁とともに、各自の感想・解釈を語り合いました。
たとえば、『だらだら坂』では、トミ子について「この子はこれからたくましく生きていくだろう」という意見。「いや世間慣れして普通の女になっていくのだろう」と違う見解。 庄治については「この男のように日常の型通りを外してみたい気持ちはわかる」など。
また、『はめ殺し窓』では、「はめ殺し窓」のイメージはどういうものか、息子にとって母の裏切りとは、などに話が広がりました。


向田文学は、人間を鋭く観察し、抉りだして描写しています。読み手が女性か男性かで、あるいは個人個人で、感想とか読んでいて引っ掛かる部分とかが違っていて、今回も、さまざまな意見が出ました。人の感想を聞いて気づくことも多く、わきあいあいと楽しく時間が過ぎました。 ご参加ありがとうございました。


次回は11月。とりあげるのは、津村記久子さんの『ポトスライムの舟』です。ご一緒に語りましょう。