第1回今宮高校読書会 報告 『パレード』

改装成った図書室を使って、生徒による初めての読書会を開きました。
7月17日火曜日13時~14時。 参加者は1、2年生の図書委員3名と司書の先生、司会は編集子でした。
取り上げたのは、川上弘美の『パレード』
『センセイの鞄』でおなじみのツキコさんが、センセイに思い出を語るという短編です。二人の天狗がいつもわたしのそばにいた子供の頃、クラスのみんなからいじめられるゆう子ちゃんとわたしの交流が話の中心になります。


読書会では、先ず、天狗って何? から話がスタートしました。
トトロみたいに、見えない人には見えないし、見える人には見えるもの。
天狗以外にもいろんなものが他の生徒についているのは、それらは独立した存在ではなく、クラスの空気みたいなものかもしれない。
でも、なぜツキコには「天狗」なのか? なぜ二人もいるのか? 等々さまざまな意見が出ました。


ゆう子ちゃんについて。
一人でいることに慣れている。だからハバにされるのか、それとも、ハバにされたからそうなったのか。
やさしい、広い心を持っている。ハバにされても強い心で感情を抑えている。
「ゆう子ちゃんは、何かをあきらめたのです。......感じるのをわざとやめてしまっていたのです。......」というくだりに、参加者の読みのセンサーが集まっていました。


話題はふたたび天狗に戻り、子供だけど子供じゃない段階から大人になるまでのあいだに現れて、子供が大人になっていく時期を助けてあげるのが天狗なのではないか、と意見が出ました。


作品のラスト辺りは少しわかりにくいなあという座の雰囲気でしたが、ゆう子ちゃんが「夜のパレードみたいに」光る時の「ものすごく悲しくて、でもきれいな光」というイメージは、ツキコよりも大人なゆう子本人のイメージだろう、と読みが深まってきました。


小学生の心をここまで描ける作者に感心しつつ、第1回読書会はお開きとなりました。


次回は2学期中に開く予定です。みなさん(今高生なら誰でも)も、ぜひどうぞ。