てのひら小説合評会 夏の部 報告

本年度も、生徒有志による小説創作と合評会を企画しました。
その第1回目、「てのひら小説・夏の部」の合評会を、7月26日木曜日に図書室3階で開きました。
今回の参加作品は以下の通りです。


『廻る世界』 真幌
『ある男に約一カ月の間に起きたこと』 田中キャノン
『これは恋ではない』 都
3作品とも400字詰×10枚の分量でした。

合評会の参加者は、真幌、田中キャノン、司書の先生、および編集子の4人。

『廻る世界』 別の世界から来たリオンと、キナリの出会いを描いたファンタジー。
リオンのいた世界とこの世界との対比が上手い。タイトルも内容によく合っている。 リオンのいた世界を更に詳しく描けば、リオンの心情がより理解できるのではないか。リオンのラストの行動に至る言動の描写を更に書き込んではどうか。

『ある男に約一カ月の間に起きたこと』 恋愛に冷めた気持ちをもつ男子大学生が合コンで高校時代のクラスメイトに再会し、心が微妙に揺れはじめて......というユーモア&シニカル・ノヴェル。
主人公の一人称の語り口がおもしろく、挿入される自己ツッコミが絶妙で笑える。冒頭のリフレイン的な語りが有効である。意識しすぎる男と何とも思っていない女のギャップがおもしろかった。

『これは恋ではない』 こちらは女子からの視点で、男子生徒との微妙な気持ちの距離感を描いた作品。男子生徒に付き合う相手ができたのを知ってからの、主人公の繊細な内面が綴られている。
出だしが巧い。ナイーブな描写が好もしい。子供以上大人未満の、等身大の高校生の心情がよく描かれている。男子生徒のあっけらかんとした態度に、まだ「子供」な高校男子がうまく描かれている。

今回の評では、よかったところが多く挙げられ、わからなかったところやここはこうしたほうがいいのではという指摘は少なかったです。各作品のレベルが高かったということでしょうか。合評会を経て推敲したものを、このホームページで順次公開予定です。ご期待ください。