20期生1年の書いた第2弾をどうぞ。
『第十一夜』 夢璃有晴
こんな夢を見た。
何も見えない真っ暗な世界。かすかに何か音がする。真っ暗な世界の中、体がふわふわと浮いていくような感覚だけが体を包み込んでいた。
どれくらいの時が経ったのだろうか。ふと気が付くとそれまでの世界とはまるで違う、光に包まれた世界が目の前に広がっていた。明るい光が差し込む中で、たくさんの人が楽しそうに、穏やかそうに過ごしている。ここはどこなのか。私は何をしているのか。そんな疑問を持ち始めた。
すると、可愛らしい女の子が私の前に現れた。そして私に言った。「おめでとう。」
私はもう一度考えた。ここはどこなのか。自分は何をしているのか。何度考えても分からない。
そして、また新たな疑問ができた。私は一体誰なのか。今まで何をしていたのか。そんなことを私はじっと考え続けていた。
『第十一夜』 梅あさぎ
こんな夢を見た。
私は目が覚めた。いつもと同じように。そして、いつもと同じように家を出た。
しかし、何かがおかしいことに気がついた。
誰も、いない。
忙しく騒がしい朝があまりにも静かなのだ。
時が止まっているようで、混乱しているはずがどこか幻想的に思えた。
衝撃と感動で私はその場に立ち尽くした。
そんな感動もつかの間、道路に滴る真っ赤な血が見えた。
一瞬で背筋が凍りついたが、私ができることはその血をたどる、ただそれだけだった。
血の赤に導かれたどり着いた先には、何もなかった。
見えたのは二つの影。
道路に広がる赤い水たまりは、みるみるうちに大きくなっていった。
私は目覚めた。いつも通り、何事もなかったかのように。
『第十一夜』 もーんと
こんな夢を見た。
私は7歳、保育園時代の友人の家にいた。私の目の前にある光景は血まみれになった友人だった。腹に包丁が刺さり、ぴくりともせず横たわっている。それをただぼぅっと見て、目の前の赤に何も言えなくなっていた。
何か鈍い音がした。次に私の視界に広がったのは友人の家族の赤だった。部屋中になんともいえぬ臭いがたちこめ、吐き気が止まらない。何が起きたのか全く理解できなかった。すると、黒い影がゆらゆらとこちらへ向かってくるのが見えた。次の瞬間私は意識を失った。最後に見えたものもまた赤だった。
どれくらいたったのか。私は薬品の匂いと機会音の中目を覚ました。すると、私のもとへ白衣の男が笑顔で近づいてくる。部屋の明るさにまだ慣れず瞬きした。白衣の男が赤になっていた。既視感に目眩がした。勢いのまま意識をまた失う。このとき、最後に見たものは刃物を持った私の赤い手だった。
〈 了 〉 「その参」につづく......