20期生1学期、第3弾をどうぞ。
こんな夢を見た。
窓を開けてうたた寝していると、遠くから悪魔が私に向かって走ってきた。
悪魔はうじ虫を身体にまとっていて、目は真っ赤に染まっている。
悪魔は甲高い声で、叫びながらこっちに走ってくる。
悪魔語だろうか、全く聞き取れない。
私はボーっと寝ころんで悪魔を、ただ見ていた。
すると悪魔はいきなり爆発した。
燃えて灰になり、風にのって私の手にのった。
見てみると灰は一枚の紙に変身していて、そこには『電話』と書かれていた。
意味がわからない。
悪魔は一体何を伝えるために、わざわざここまで来て爆発したのだろうか。
気味が悪い。
いきなり電話が鳴った。
私の携帯電話だ。
私は電話をとった。
悪魔の声が聞こえてきた。
「お誕生日おめでとう。」
電話から聞こえてきた。
私は夢から覚めた。
今日は私の誕生日である。
『第十一夜』 ばんばん
こんな夢を見た。
太陽がきらめくある日、友人の住む町へ行くために、峠を登っていた。
私は友人の町へ行くのは初めてだったので、行き方を友人に訪ねた。すると友人は、
「峠をこえてしばらくすると甘い黒い猫に出会う。そこで右に曲がるといくつも並んだパステルカラーの岩がある。そしてその先には黄色っぽい中心に穴が開いた切り株がある。そこでひと休みしたら、何重にも重なった太い橋をこえておくれ。そしたらおいらの町につけるから。」と言った。
私はこの言葉を思い出しながら峠をくだると、本当に黒い猫に出会った。
猫は動いていなかった。「もしもし」と肩を叩くと、ペトッと何かが手についた。
なめるとチョコの味だった。
次の岩はマカロン、切り株はバームクーヘン、橋はミルフィーユの味がした。
私が歩いていたのはお菓子のショーウィンドウの中だったのだ。
こんな夢を見た。
私は独り、風の吹く花畑で今まで見たことがないくらい美しい青空を見ながら寝そべっていた。
「ここはヨーロッパか」と、昔読んだ本を思いだし叫んだ。
すると私の声に驚いて羊たちが大勢走り回っている。それを止めようとしたが、一人の男が私より先にしていた。よく見るとその男は右手に大きな鎌を持っていた。もしかしてと思い、男に尋ねた。「羊を殺すのかね。」
「いや、毛を刈るだけだ。」と男は笑いながら言った。
私も羊の毛を一度刈ってみたかったので男に鎌を貸してもらい、一緒に毛を刈った。羊も多かったので時間がかかった。二時間後、すべての羊の毛を刈ることができた。私が思っていたよりもあまり楽しくなかった。私は男に「こんな毛をどうするんだい。」と聞くと「服を作るのさ。」と嬉しそうに言った。私は用が済んだので帰ろうとすると男が、「次はお前だ。」と悪魔のような笑顔で言った。
私は目を覚ました。あれは夢だったのか。
〈 了 〉 「その四」につづく......