夢十夜「第十一夜」 その四

20期生1年、4作品をお届けします。

 

『第十一夜』 えび

 

 こんな夢を見た。

 机の上で絵を描いていると、妹が来て、私が描いた絵を見ようとしてきたので、どっかに行けよ。と言った。すると、妹は見ようとするのをやめて、なわとびを持ってきた。私が、家の中でしたらダメだろ。と言うと、妹は手に持っていたなわとびを投げた。そのなわとびは結構痛かったので、私が怒ると、妹は笑いながら部屋から出て行った。

 三十分くらいすると、なぜか妹がまた部屋にいて、歌いながら私に近づいてきた。妹はテスト前だったので私が、勉強しているのか聞くと、全然余裕やという風なドヤ顔をしてきたので、私が無視すると、背後から殴られて私は気を失った。

 次に目が覚めると、私の目の前で、私の辞書を持った妹が踊っていた。私は少し腹が立ったので枕を投げようとしたら、バランスを崩して、ベットの上から落ちた。

 そこで、私は目が覚めた。

 

 

 

『第十一夜』 走馬灯

 

 こんな夢を見た。

 気がついたら自分の周りには何もなかった。自分の周りは宇宙のような暗黒で何も見えない。自分は立っているわけでも座っているわけでも寝ているわけでもなく、ただそこに存在し、ふんわりと浮いている気がした。

 音は聞こえず、光も見えない。どうして自分がこのような場所にいるのか分からなかった。

誰もいないし、何もない。普通ならこんな場所から抜け出したいと思うかもしれないが、なぜかそんなことは考えず、この場所が心地よいとまで感じていた。

 この場所で幾年も存在していると、自分が存在しているという意識さえ薄れていった。

 そのとき、人はこうやって消えていくのだと思った。

 

 

 

『第十一夜』 みるきぃ

 

こんな夢を見た。

白に染まった通学路を歩いていたとき、何十本もの分かれ道が突然現れた。それぞれ色が違って、行き先を示しているであろう看板に不思議な絵が描かれていた。私の視界には三本の道があって、左にはパステルカラーで彩られた鮮やかな道。右には青と黒で嵐のような雰囲気を思わせる道。正面には今までと同じ白色だが、ただただ真っ白で静かな道が横たわっていた。看板はそれぞれ赤、紺、黒色を私に見せつけるように堂々と立っている。私は迷わず真っ白な道を選んだ。石も段差も何もない道を進んだ。

 もう何回、日が沈んだかわからない。正直飽きた。いくら進んでも同じ景色しかない。目的地にいつまでも着かない。引き返そうと思ってもなんともいえない気持ちに襲われ、先へ進むことしかできなかった。黒。今の私は看板の色と同じ黒くて何もない状態だった。

 目が覚めると私は少し遠まわりをして学校へ向かった。

 

 

 

『第十一夜』 でめきん

 

こんな夢を見た。

ソファーで横になって休んでいると、私の上に茶色い猫が乗ってきた。

おかしいな。猫なんて飼っていないのに。

そう思いながらも私は仕事で疲れていたのでそのままソファーに横になって寝た。

 次の日の朝、仕事へ行こうとすると、家の前に昨日の茶色い猫が座っていた。

しかし、寝坊をしてしまい、仕事に間に合わないと思った私は、猫をそのままにして仕事へ向かった。仕事場につくと、私のデスクにあの猫が座っていた。

さすがに驚いて、目をこすってもう一度見てみると、猫は消えていた。

家に帰ってまたソファーで横になっていると、やはりあの猫が来た。

でもおかしい。猫が私と同じ服を着ている。

いったいどうなっているんだと思ったけれども、疲れていたので寝た。

 次の日、目を覚ますと私は家の前で座っていた。すると家から「私」が出てきた。

このとき思った。私は猫と入れ替わったのだ。

 

 

   〈 了 〉  「その五」につづく......