読書のすすめ6 受験脳の作り方

blog160708 読書のすすめ6_受験脳の作り方.jpg 記憶に関する脳科学の入門書ですが、高校生向けにユーモアたっぷりに描かれています。記憶と勉強はつながりますね。英単語、歴史の年号などは覚えないといけません。
 この本は、海馬という人間の脳の記憶に関する中枢の特性を説明しつつ、その特性から、効果的な記憶の仕方を読みやすく説明しています。昨年3月の三学期終業式の校長講話で紹介したのですが、3年生は覚えてくれているかな?
 受験モードに入った3年生や部活で忙しい1~2年生が読むと、勉強の時間を効率的に使えるようになるかもしれません。

 この本からいくつかご紹介します。
①忘却曲線
 人間はみな忘れますが、その忘れる度合を曲線にしたものを忘却曲線と呼び、結構わかっているそうです。この曲線を知っているといつ復習すると効果的かがわかります。それによると、復習するタイミングは、翌日、1週間後、2週間後、4週間後がよいようです。これで定着するようです。1回目の復習を1か月後にしても効果は低い、最初の記憶の賞味期限は1か月ということなのでしょう。だれも1回や2回では覚えられません。適切なタイミングでの繰り返しがポイントです。

②ライオン法?(記憶力増強法)
 お腹が減って寒空で狩りをしているライオンをイメージします。ライオンにとって、この状態は生死がかかっている状況下のため脳が活性化され、人間を含め動物の記憶力が非常に高まる状態だそうです。例えば、空腹時に歩きながら少し寒い環境で学習すると効果が上がるのかもしれません。空腹時は記憶のゴールデンタイムだそうです。部活が終わって家に帰る冷房の効いた少し揺れる電車の中は、お腹も減っているのでこの状況に近いかもしれません。そうだとすると英単語を覚えるには効果的な環境ということになりますね。なお、ライオン法とは、私がかってにつけた名前です。

③睡眠と記憶の不思議な関係
 睡眠によって記憶が整理されるそうで、寝る前の1~2時間が記憶のゴールデンアワーだそうです。不思議なことに、勉強して寝る前の正答率よりも、翌朝起きたときの方が(眠っただけなのに)正答率が上がったという実験結果があるそうです。寝る前に勉強していればの話ですが。眠いときこそ暗記のゴールデンタイムなのかもしれません。
 

 著者の池谷さんは、新進気鋭の脳科学者です。若者向けの啓蒙書・入門書も数多く書いておられ、よく読まれています。私も好きで何冊か読みました。若干45歳で既に東京大学の教授ですので、頭脳明晰なのだと思いますが、写真を見ると童顔でその表情は暖かです。

 本校の図書室にもありましたので、生徒の皆さんは、一度借りてみてはどうでしょう?

 では、最後に
『onとoffを意識して』 頑張れ 今高生!