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近づかないと「夢」は見えない...仲間と見ると「夢」の輪郭は鮮やかになる!ある三丘生が北海道で見た「夢」をご紹介!

 ある3年生が、LINEで、あることを教えてくれました。私は思わず、「これ、校長ブログで紹介しても良い?」と返信していました。そこには、この夏に彼が北海道大樹町のJAXA大樹航空宇宙実験場で経験した素晴らしい時間がありました。地元十勝新聞のホームページで紹介されましたので、まずは、ご覧ください。

https://share.google/D7bdgPzUeAtuVT33X

 天文部の記事の中で何度か登場してもらった、町谷くんです。彼がJAXAの事後アンケートに書いた文章を送ってくれました。このブログを読んでくれている中学生は3年後の自分と重ね合わせて読んでみてください。保護者のみなさんは、三国丘高校の3年間が我が子を成長させる証拠として読んでみてください。

 このエアロスペーススクールで感じたことを2つ述べます。1つ目は参加している高校生や講師の方々との接し方です。

 宇宙の話をするときは必ずと言っていいほど、相手に伝わっているかどうか、表情を見ながら、噛み砕いて話をするのですが、このスクールでは全くそのことは必要無く、自分の話したいことをストレートに、解像度を落とすことなく話すことができました。参加していた高校生は様々な方向に興味がありましたが、自分の全く知らない分野であったとしても、理解することを諦めず、話を聞いて分からなかったことにはしっかり質問をする...そんな姿勢が彼らには備わっていて、並々ならぬ力強い向上心を感じました。

 2つ目はスペースコタン株式会社やIST株式会社の講師の方々の講義です。

 自分の会社の短絡的な利益を優先することなく、日本のために、大樹町という地域のために自分たちの会社は何ができるのかということを常に考えておられて、そのことが回り回って自分たちの会社の利益になる、そのようなビジョンを掲げられていました。夢やロマンのためではなく、現実的なビジネスモデルの一つとして発展途上の分野と向き合っておられる姿に感銘を受けました。新しいものにお金が付きにくい日本であっても、どのようにしてビジネスにするのかを真摯に考えられていて、すごく勉強になりました。

 総じて、この4日間を通じて、考えに幅のある人間になれたと思います。参加する前には、自分と似たような宇宙開発のエンジニアを目指す人たちばかりが参加すると考えていました。しかし、全くそのようなことはなく、宇宙教育のために保育士になりたい人や宇宙医療に興味のある人など、興味関心のベクトルが全く異なる同世代の人と同じ時間を過ごし、設定された課題を解決し、自分の夢を語り合っていく中で、本当は自分は何がしたいのかという信念の核の部分を見つけることができました。それはひとえに、自分の出せる最大のパワーで多種多様な同世代の人たちとディープな時間を過ごせたからだと思います。

 どうですか?これが高校3年生の文章です。理想論だと批判されるかもしれませんが、高校教育の目標は「なりたい自分を見つけること」だと思っています。将来、どんなことでどんなふうに社会に役立つ人間になるのか...ということをできるだけ具体的に描けるようになることが、青年期に達成すべき目標だと考えています。難関国公立大学に何人合格したなどという数字は目標ではなく結果です。なりたい自分になるためにめざすべき大学を定めて努力した結果、多くの生徒が難関と呼ばれる大学に合格したというのが、考え方の正しい順番です。私のこの考えが空想ではないということを証明してくれたのが、上に紹介した彼の文章だと思っています。

 「なりたい自分を見つける」ために不可欠なのは、たくさんのホンモノに出逢うことです。自分がめざす将来と重ね合わせることができる先輩や大先輩との出逢いは三丘生に良質の刺激を与えてくれますが、同様の理由で、その時点の自分と同じように「なりたい自分」を見つけるためにもがいている仲間と同じ時間を過ごすことは、非常に効果的な方法です。そういう意味で、彼が北海道で過ごした時間は得難いものになったと思います。

 ここに、中学生や保護者のみなさんが高校選びをする時に陥りやすい落とし穴があると、私は思っています。とても難しいことですが、自身の進学先として、10年後20年後、社会で活躍できる(何かを見出したり、社会を変革したりできる)人材を育てることができる高校を選ぶことができたら、それが正解だと考えるのです。保護者のみなさんは、目先の実績より、我が子の将来をどれだけ真剣に考えてくれているかということを見定める目を持ってほしいと願っています。彼の文章を読みながら、三国丘高校が守ってきた教育は間違いではないことを再確認することができました。

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