読書のすすめ3 博士の愛した数式

blog160622a 博士が愛した数式.jpg 大分、間があいてしまいましたが、読書のすすめ3です。
 今回は、『博士の愛した数式』です。著者は小川洋子さんです。第一回本屋大賞受賞作で、寺尾聰さん主演で映画化もされましたのでご存じの方もおられるかもしれません。

 交通事故で記憶障害となり記憶が80分しか持たないという想定の数学の元大学教授、その住まいに勤める家政婦さんとその10歳の息子の間の心温まるお話です。映画では、その息子が成人して高校の数学教師となったその教壇で、生徒に博士の想い出を語る場面から始まります。そして数字の暖かさと面白さを感じて欲しいと話します。
 本当に大切なものとは何かを考えさせてくれる本です。サンテグジュペリの童話『the little prince星の王子様』にもでてくる "本当に大事なものは眼に見えないんだよ。" とのセリフが印象に残ります。

 数字にまつわるお話がいくつかでてきます。例えば、220と284は友愛数(互いの約数の和が他方と等しくなる数の組)だとか、元阪神タイガースの江夏の背番号28は完全数(約数の和が自身の数字と等しくなる数28=14+7+4+2+1)だとかの話です。私は、友愛数とか完全数というものを知りませんでした。小説で博士は、『美しいだろう。』と話します。

 表題の『博士が愛した数式』とは、次のオイラーの公式を言っています。

blog160622 オイラーの公式100.jpg

 

 この式は、とても不思議な美しい公式だと言われます。
二乗して -1 となる不思議な数 i と、微分しても同じとなる不思議な指数関数exの基数e、そして円周率π。eとπは、小数や分数では表せず小数で表そうとすると無限に数字が続く無理数です。これら、相互に全く関係のない i と e と π が繋がると、なんと -1 というきれいな整数になるというのがオイラーの公式の不思議さです。そのシンプルさから美しいと表現されています。世界がそういう風にできているのですが、確かに、不思議だと思います。感動的といえるかもしれません。
 ニュートンの法則ma=Fや、アインシュタインの特殊相対性理論が導く E=mc2 もシンプルです。真実は美しくできているのかもしれません。

 『博士の愛した数式』を読むと、心が温まるとともに、数学に親しみが湧くかもしれません。

 では、最後に
『onとoffを意識して』 頑張れ 今高生!