8月26日(火)、全校集会を行いました。
私の方からは今回の東日本大震災の復興ボランティアの中で感じたことから、「苦しみに耐えぬく力」についてお話ししました。
以前にブログで書かせていただきましたが、陸前高田市の鳥羽市長は、全てのものを一瞬にして失い、絶望の淵に叩き落された気持ちでおられました。思考が停止し、何かをしようという気持ちになれない、無力感にさいなまれたといいます。一瞬にして全てのものを失ってしまった人の気持ちを容易には想像できませんが、もしも私がその立場になれば、孤独、絶望、不安、恐怖と様々なマイナスの感情ばかりが沸き起こり、自分自身をも失ってしまうのではないかという気持ちになります。
そんな中、一生懸命手を差し伸べてくれる人達がいました。繰り返し、繰り返し手を差し伸べてくれる仲間がいました。そんな仲間の存在が、真っ暗だった心に小さな明かりを灯しました。少し、明かりに向かって歩いてみようかという気持ちにしてくれました。「誰かに頼ってもいい」と思えるには、その相手に対する「信頼感」が必要です。最近、「受援力」という言葉をよく耳にします。「助けてほしい」と言える力、「人を信頼し、その人に自身を委ねることのできる力」です。人に助けてもらうためには人を信じ、助けを求める力が必要なのです。
人は苦しい胸の内を聞いてもらったり、うれしい気持ちを分かち合ったりすることで心の安定を保つことができる。これからの長い人生の中で、自分自身を支えてくれる仲間を作っていくことがとても大切であり、10代に人間関係づくりのトレーニングをすることが、その後の人間関係づくりの点で大きな影響力を持ちます。
グローバル人材の育成ということからもよく言われる「コミュニケーション力」「人間力」なども、究極は「人と人のつながりを持ち、対立する中で調整や説得、納得をしていく力」であり、人の気持ちを一つにしてプロジェクトを達成するリーダーとしての資質にもつながります。
同じ目的をもって集まった同質の集団の中で、あるいは、とても気の合う仲の良い友達の中でコミュニケーションをするのは比較的簡単ですが、自分のことを分かってもらわないといけない、相手のこともあまり理解していない人達が集まって互いの理解を深め、深い人間関係を築いていく過程がとても重要であり、その中で人間関係が豊かになり、人としても大きく成長していきます。なんとなく一緒にいる、なんとなく仲良くしている...そういう関係ではなく、真剣に人と人としての魂がぶつかる瞬間を経験することが重要と感じます。
学校行事はそのような人としての力を育てる大切な教育活動であり、授業とはまた違った生徒の成長を感じることのできる機会です。
今回のボランティア活動でも、経験することの大切さ、人と人が協力し助け合っていくことの大切さをひしひしと感じてきました。
2学期には秋桜祭や修学旅行といった、大きな学校行事が控えています。これらの行事を通して、2倍にも3倍にも大きく成長することを期待しています。