第12回卒業証書・修学証書授与式  #151

2/26(金)第12回卒業証書・修学証書授与式を挙行しました。

新型コロナウイルス感染防止のため、式場内には卒業生及び教職員、在校生代表として生徒会執行部の生徒のみの式となりました。来賓はご遠慮いただき、希望者される保護者には東ウイングホールで式の様子をライブ映像で御覧いただきました。

総合学科生271名に卒業証書を、共生推進生3名に修学証書を授与しました

また、閉式後に大阪府教育委員会表彰、全国総合学科優秀者表彰、大阪府教育長賞、各受賞者3名の表彰を行いました。

最後は卒業生が卒業生の歌「春愁」を歌い、式を締めくくりました。

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(以下に校長の式辞を掲載します。)

本校中庭では梅の花が開き、ようやく春の兆しが見え始めたように感じられます。そんな春の佳き日、ここに卒業を迎えられた十二期生の皆さん、今日は本当におめでとうございます。そして、保護者の皆さまには日頃より、本校の教育活動にご理解ご協力いただけましたことに改めて感謝申しあげますと共に、本日はお子さまたちのご卒業、誠におめでたく、心よりお祝い申しあげます。

この場で多くの保護者の皆さまや来賓の方々とともに皆さんの卒業をお祝いできなかったことをとても申し訳なく、残念に思います。

さて、小学校3年生のクラスを受け持つある小学校の先生に訊いたお話を紹介します。その先生のクラスに落し物をよくする子がいたそうです。鉛筆や消しゴムをすぐに無くしてしまう。本人もお母さんも困っていました。ある日、音楽で使う縦笛をみんな揃って買うことになりました。ほかの人のものと間違わないように縦笛にはそれぞれの子の名前を彫り込むことになりました。先生はそれぞれの子に紙を渡し、彫ってほしい名前を書かせたそうです。みんなが漢字で名前を書くなか、その子だけはひらがなで名前を書きました。

先生が「漢字にしたらどう?」とすすめても、どうしてもひらがなにするといってきかない。さて、皆さんはどうしてこの子は、ひらがなにこだわったと思いますか。考えてみてください。先生がその子に理由をきくと、その子は次のように答えたそうです。

「だって、縦笛をどこかに置き忘れた時に、たとえ、漢字がまだ読めない一年生が見つけてくれたとしても僕のところまで届けることができるから。」と。この子は本当に困っていたのでしょう。幼いながらも、その子なりに考え、困りごとを解決しようとしたのでしょう。

いま社会で求められているのは、人に言われたことを言われた通りできるだけの人間ではなくて、自分で問題点を見つけ、その解決方法を導き出して、自ら行動し、課題を解決できる。そのような人材が求められています。皆さんにはそのようなひとになってほしいと願いながら、皆さんと接してきたと十二期生担任団の先生たちから聞いています。これからもその教えを忘れず、是非、そのような大人になってください。

次に皆さんにクイズを2つ出します。三択問題ですので考えてみてください。もし答えを知っている人がいたらじっと我慢をして待っていてください。

質問1: 世界の平均寿命は現在およそ何歳でしょう?①50歳②60歳③70歳 どうでしょう考えてみてください。答えはまとめて発表します。 では、第2問です

質問2: 世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子供はどのくらいいるでしょう?①20%②50%③80%では、答え合わせです。

質問1: 世界の平均寿命は現在およそ何歳でしょう? 答えは③70歳です。

質問2: 世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子供はどのくらいいるでしょう?答えは③80%です。さて、正解を聞いてどうかんじましたか。自分がそうに違いないと思っていたことと世界の事実が異なることに気づきませんでしたか。

三択問題ですので数学的には正解の確率は33%となりますが、実際には1万2千人に調査し、平均正解率は13問中3問、23%だったそうです。

このクイズは『ファクトフルネス』という本から引用しました。著者はハンス・ロスリングというひとで2年ほど前に日本語版が出版されました。13問のクイズが冒頭に紹介されています。そのうちの2問を出題しました。その本には先入観や思い込み、そして、事実に基づくことなく、あたかも「真実」と世間で一般に言われていることを鵜呑みにしないで客観的なデータを基に世界を正しく見ることの大切さが書かれています。

これから皆さんが生きていく時代は予想もしていないことや急速な変化の連続だと言われています。まさに現在進行中の新型コロナウィルスの出現はその典型的な例ではないでしょうか。当初、人類は未知のウイルスを前にしてなすすべがありませんでした。皆さんは突然、次の日から学校が休校となり、多くの自由な時間を与えられました。その一方で進学や就職を控えた大切な時期に学校や先生方の力を借りずに希望進路までの道のりを自ら切り拓いていくことを求められ大いに動揺し、心を悩ませたことでしょう。

今後も様々な変化に直面したときは前半でお話した自分で問題点を見つけ、その解決方法を導き出して、自ら行動し、課題を解決していくことに加え、世の中に氾濫する様々な情報を鵜呑みにしない。あらゆる情報を最初から信じることなく、本当に果たして真実なのかなと、批判的に見つめる。それが正しい情報なのかを自分で調べ、自分で確かめる。常にそんな態度をもって生きてください。また、そうすることができる力を自ら育みながらこれからも生きていってください。

さあ、これからみなさんが歩みゆく未来は、明確には見えないものですから、希望が大きく膨らむ一方で、不安を感じることも当然です。ただ、一つ言えることは今ここに巣立つ皆さん全員がこの千里青雲高校で学んだという共通の事実をもっているということです。たくさんの友がいます。また、本校の卒業生、先輩たちや先生たちがいます。自分独りぼっちではありません。さらに、今後も新たなチームメイトをたくさん作り、お互いに手に手を取って助け合い様々な困難に立ち向い、それを乗り越え、自分も他の人もみんなを幸せにするひとでいてください。

最後に、保護者の皆さまには、重ねてお祝いを申しあげますとともに、十二期生の皆さんの前途に幸多かれと祈念いたしまして私の式辞といたします。

令和三年二月二十六日

大阪府立千里青雲高等学校 校長  浅尾 悦司

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