第15回卒業証書・修学証書授与式  #187

2/28(水)第15回卒業証書・修学証書授与式を挙行しました。2年間、不自由な高校生活を強いられた15期生の旅立ちを祝うかのように、最高のお天気となりました。

今年度は新型コロナウイルス感染防止の制限がない卒業式を挙行でき、卒業生のご家族はもちろん、在校生も参列することができました。

式では総合学科生に卒業証書を、共生推進生に修学証書を授与しました。校長式辞のあと、在校生の送辞、卒業生の答辞、また、閉式後に大阪府教育委員会表彰、大阪府教育長賞、全国総合学科優秀者表彰、各受賞者3名の表彰、そして、在校生の歌、卒業生の歌と続き、最後にPTA3年学年委員長の心のこもった謝辞をいただきました。

これぞ千里青雲高校の本来の卒業式。在校生の歌に応え、卒業生が歌で返す。しかも、見事な3部合唱を披露してくれました。最後は吹奏楽部の演奏に合わせ、卒業生が退場となりました。合唱大会を伝統行事としている本校の魅力の1つを実感し、また1つ新たな感動をもらいました。

(以下に校長式辞を掲載します。)

本校中庭では梅の花が開き、ようやく春の兆しが見え始めたように感じられます。

そんな春の佳き日、ここに卒業を迎えられた千里青雲高校十五期生の皆さん、今日は本当におめでとうございます。そして、ご家族の皆様には日頃より、本校の教育活動にご理解ご協力いただけましたことに改めて感謝申しあげますと共に、本日はお子さまたちのご卒業、誠におめでたく、心よりお祝い申しあげます。

また、本日は公私ご多用にも関わりませず、ご来賓として、多数の方々にご臨席賜り、この式典に花を添えていただきましたことは誠にありがたく、厚く御礼申しあげます。

さて、卒業生の皆さん。少し聞きなれないお話をします。私たちの住む宇宙には「エントロピー増大の法則」というものがあるそうです。それは「秩序あるものは無秩序になる」という法則です。例えばエジプトのピラミッドも3千年経つと徐々に風化し砂になる。美容院に行ってきれいに切りそろえられた髪の毛も数週間経てば伸びてきてバランスが崩れてきます。熱烈な恋もいつかはさめる。でも、これまでこの法則に逆らってきたものがこの地球上には存在します。それが生命です。生命は38億年、この法則に逆らってきました。では、どのようにして生命はこれだけ長い間、この法則に逆らい続けてくることができたのでしょうか?そんな生命の不思議さを幼いころから感じ、生物学者となった福岡紳一さんが「動的平衡」という本の中で次のような考えを示しています。

「動的平衡」とは「動的」すなわち絶えず動いて、「平衡」つまりバランスを保っているということです。私たちの体を構成する細胞は決してとどまることなく入れ替わり続けます。だから、今日きょうの私たちの体は数か月前とは全く別の細胞でできています。でも、全くの別人になることはありません。周りの友達がみんな、数か月前と全く別人のようになってしまったら大変です。でも、そんなことはありません。生命の営みには細胞を変化させながらも持続性を保つ仕組みがあるからだと福岡さんはいいます。そして、この状態のことを「動的平衡」と呼んでいます。細胞が変化しつつもかろうじてこの状態を保っている様子を「一輪車に乗ってバランスを保つときのように、むしろ小刻みに動いているからこそ平衡を保つことができること」にたとえています。

私たちは絶え間なく食べ物を体内に取り入れないと生きていけません。「食べる」という行為で、食べ物の成分が体中のあらゆるところに行って体の一部になります。その時、それまで体を作っていた分子や原子は、代謝され体の外へ排出されます。つまり、食べるということは自分自身を入れ替えているということになります。言い換えると生命は絶え間なく自らを壊し続けているのです。生命は「エントロピー増大の法則」が細胞を壊してしまう前に、あえて先回りして自らを壊し、作り変えているのです。こうやって私たち生命体は絶えることなく今日まで存在してきました。

生命の営みは皆さんに一つ大切なことを教えています。壊して作り替えるということは自らをあえて不安定な状態にもっていくことになります。でも、それがあるからこそ「エントロピー増大の法則」に逆らい、生命は存在し進化し続けています。        

人が歩く時も同じです。一歩を踏み出すということは、片足で立つ瞬間ができます。その瞬間、体は不安定さを作り出すことになります。でも、そうすることによって体は前に進み出て次の一歩となり前進できます。皆さんも現状の自分に満足することなく、常に新しい自分を思い描き、それに向かって常に挑戦し、進化、成長し続けてください。

いま社会で求められているのは、人に言われたことを言われた通りできるだけの人間ではなくて、自分で問題点を見つけ、その解決方法を自分で考え、導き出し、自ら行動し、課題を解決できる。そのような人材が求められています。皆さん15期生の学年通信のタイトルが考えて行動すると書いて「考動力」となっています。

これは皆さんにまさにそのようなひとになってほしいと願いながら、3年間、皆さんと接してきた15期生担任団の先生たちの思いを表しています。その願いに応え、みなさんは見事に成長してくれました。昨年6月に行われた体育祭での皆さんの雄姿をみて私は成長を実感し、感動しました。これからもその教えを忘れず、是非、考えて行動する「考動力」を常に備えた人でいてください。

最後に、ご家族の皆さまには、重ねてお祝いを申しあげますとともに、十五期生の皆さんの前途に幸多かれと祈念いたしまして私の式辞といたします。

令和六年二月二八日                                      大阪府立千里青雲高等学校                                  校長  浅尾 悦司

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