平成29年度 授業改善研修の報告

年度末にあたり、本校で本年度取り組んだ授業改善研修について報告します。

本年度も、3回にわたって授業改善研修に取り組みました。本年度も、花熊曉教授(関西国際大学教育学部、元愛媛大学教育学部)をアドバイザーとしてお招きし、研修に取り組みました。

今年度の授業改善のテーマは、「主体的・対話的で深い学び」です。

研修は、3回にわたって行われました。第1回目は講義、2回目、3回目は、各学部が授業研究を実施し、その授業を「主体的・対話的で深い学び」の観点から研究協議するという形で実施しました。

スケジュールは以下の通りです。

 第1回 平成29年7月10日(月) 講義(花熊先生による)

 第2回 平成29年9月25日(月) 授業研究2つ(中学部)と放課後の研究協議

 第3回 平成30年2月 9日(金) 授業研究2つ(小学部、高等部)と放課後の研究協議

現在、新学習指導要領の周知が始まっておりますが、「主体的・対話的で深い学び」は、大きな柱の一つです。こう書くと敷居が高く感じますが、我々はすでに日々の授業の中で、子どもの主体的な学習活動を引き出すためにすでに何らかの「手立て」や「工夫」をしているように思います。

支援学校の授業でこの観点をどう生かして行くか?授業研究を通して明らかにすることが今回の研修の目的でした。

それでは、ここから、それぞれの研修の様子についての報告をしたいと思います。

●第1回 平成29年7月10日(月)

1回目は、花熊先生による講義です。この講義では、支援教育における「主体的・対話的で深い学び」の観点とその具体例についてお話を伺いました。

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授業では、生徒の主体性が生かされる機会を作ること、「支援の最小化」を心がけることが大切で、そのためには、授業の環境を整え、活動の意味を理解させる、達成感を味合わせる工夫が大切ということを学びました。

また、他者との関わりの機会を授業の中で作り上げて行くことの大切さはもちろんのこと、一方で、「対話的」とは、自分自身との対話という意味もあることから、生徒自身が考える機会を作ることの大切さも指摘いただきました。

参加者からは、好評の声をいただき、「新学習指導要領のねらいが、まさに今知的障がいの現場で目ざされているものだという言葉になるほどと思いました。」「本当の意味でスキルアップさせるために、何のためにそうするのかを定着させることの大切さ、自分からすることの大切さ、それをどう支援していけばいいのか改めて考えさせられた。」などの感想がありました。

●第2回 平成29年9月25日(月)

2回目は、中学部による授業研究を実施しました。主な内容とその感想を列記します。

<朝のランニングクラブ>

中学部3年の朝のランニングクラブが紹介されました。マラソン大会などを目標に、生徒たちが互いに協力しあって毎朝のランニング練習に取り組んでいます。

・感想「主体的に動いていることにとても感心しました。見通しを持てるとこんなにも自ら考えて取り組めるのだなと。言葉がけを減らす、支援の最小化など、今後の授業に生かして行きたいです。」

<中学部Bグループ(1、2、3年合同) 体育>

単元は、「コーンおこすっす!」ゲームを通して、ルールの理解、仲間意識、準備、片付けの理解と協力を育むことを目標としています。

・感想「生徒たちが主体的に動くことができていてこの日までの意識を持った取り組みの表れだろうと感じた。また、主体的に動けるようになるために先輩が1年を教えるという生徒同士の関わり、教師の支援の最小化、言葉かけを工夫されていたのも勉強になった。」

・「とてもまとまりのある授業で見習うところがたくさんありました。教科は違いますが、指示の出し方や生徒との関わり方など自身の授業でも取り入れていきたいと思います。」

<中学部3年 国際交流>

スカイプによる姉妹校の韓国の耕進学校との交流を行いました。お互いの校歌の紹介、ダンス、本校オリジナル音頭、「わかば音頭」の紹介などを実施しました。

・感想「主体性をとても大事にされていて生徒たちにも伝わっている様子でした。勉強になりました。交流はとても楽しそうに発表の準備をよくされていたと思います。」「お互いの学校の体操を事前に練習してリアルタイムで発表するのが良いと思いました。」

●第3回 平成30年2月9日(金)

3回目は、小学部の体育と高等部の国語の授業研究を実施しました。

<小学部 低学年 体育>

低学年児童合同の体育です。単元は「まねしてみよう」と「おにごっこ」です。集団での活動を楽しむなどをねらいに実施しました。活動内容の理解を進めるための様々な工夫がありました。

・感想「小学部の体育の主体的な学びは"遊びきる"という言葉がとても印象的でした。子どもたちの学びが深まるような指導、支援を心がけていきたいと思います」「小学部で主体的に遊んで、"遊びきる"ことのできるような子が中高で伸びるというお話が、印象的でした。」

<高等部1年 国語>

国語で「いろはがるた」を教材に授業を実施しました。

・感想「生徒たちのコミュニケーションツールとして、いろはがるたでというのはよかったです。子どもたちで考え、ミスから正確な答えを出すのは勉強になりました。

**3回を通した研修で、「主体的・対話的で深い学び」の観点についての理解と共有が図れたと感じています。

・感想「普段、他学部や他の教科を見ることができない。そして、その工夫などがわからないのでこういう機会で学ぶことができよかった。新しい発見が多くありました。」

**来年度も引き続き、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善を進めて行く予定です。