業を授ける!

 36年前の6月、2週間の教育実習最終日、職員室で先生方へのお礼の言葉を述べる機会をいただき、「授業」が「受業」ではないことに気づいたということを申し上げました。生徒が「受ける」ものではなく、教師が「授ける」ものなんだということと捉える、教師の観点から眺める第一歩を踏み出した瞬間だったように思えます。時が大きく流れましたが、その思いは今も変わらず、大切なものとして心の中でずっと抱え続けています。

 先週月曜日から3週間、そして昨日から2週間の教育実習が始まりました。実習生の皆さんには、コロナウイルス感染症対策、そして先生方と密にお話しいただくことを含む3点をお願いしました。3点めの生徒の皆さんとの触れ合いで大切にしてほしいとお伝えしたことを以下でお知らせしたいと思います。

 ~次に生徒との触れ合いで大切にしてほしいことです。たった2(あるいは3)週間ですがこの短い期間に教員になるぞと決める出来事に出会える可能性があります。そのカギを握るのがミカンです。観察、感動、貫徹の3つのカン、「ミカン」です。授業、HR、部活動、掃除の時間や休み時間、廊下でさえもしっかりと生徒を「観察」してください。「見学」ではなく「観察」です。「観察」すると小さな、息づく変化に気づくことができるようになります。無表情だった子が笑顔に、椅子にもたれかかっていた生徒が前のめりに、ペアワークの際の声に張りが出たりなどの小さな変化に気づけるようになり、その光景に「感動」できるようになります。そして、その観察して変化に気づくという姿勢を貫くこと「貫徹」が3つ目のカンです。観察、感動、貫徹、3つのカンを意識することでぜひ生徒の高校生活を、そして先生方の人生を変える瞬間に立ち会ってもらいたいです。

 最後は授業に関してです。教育実習のメインは授業です。授業のGoalを指導教官と共有できれば、あとはいかにいい「問い」をどう効果的に発することができるかにかかっています。しっかりと教材研究をして、よい「問い」を授業の中に編み込んでください。生徒たちの面白いと思う範囲が広がり、学びたいという気持ちが育つ機会が1度でも持つことができれば皆さんの教育実習は成功です。6月10日に先生たちご自身が自分の変化に気づき感動してもらえることを心から願い、お祈りし、応援しています。楽しんでください。

触れ合う教育実習生と生徒の皆さんにとって、良きご縁となる時間となりますように!