テーマに沿って話し合いがなされ、それぞれが自分の思いを伝えあう。取捨選択をし、メインの部分をそれぞれのグループにあてがわれた小さなホワイトボードに書き込んでいく。クラスで共有するために、ホワイトボードを黒板に貼りに行く。先生から「誰か」と声がかかる。各グループに係やグループリーダーがいる様子もないが、声がかかるたびにグループの中の「誰か」がホワイトボードを手に取り、前に提示し、何事もなかったように自席に戻る。「誰か」と呼びかけられたときに「自分」だと思える人が多いことほど組織にとって心強いものはない。教育実習生の家庭科の研究授業の中での一コマで、茨高生の「あたりまえ」のレベルの高さに改めて心躍った瞬間でした。
この授業では「自分自身を子育ての当事者として捉えることで、子育ての環境の現状や課題について気付かせること」が目標でした。「育児を行う上で不安に感じること」を話し合い、育児への負担感の軽減や孤立を防ぐために社会、地域での子育て支援の実例などを学びながら、最終的には地域として社会全体で子育てを支援するための具体的アプローチをグループで話し合い、発表を行いました。グループの中で、前向きで、建設的、なおかつユニークで人々の気持ちを惹きつけるキャッチフレーズがあふれ出てきました。実習生の絶妙のタイミングでの助言、面白いフリーダイアルやURLの紹介が活動の途中でうまく提示され、キャラクターの創造やQRコードを載せるグループなど様々な具体的な支援策がクラスの中で共有されました。少しでも、今よりみんなが幸せになるために知恵を出し合うこと、そのことを面白いと思え、やりがいを感じるそんなヒントがたくさん詰まった授業でした。
実習生の自らの在学中の体験を生かし、新カリキュラムの中の主体的で、対話的な深い学びを意識した充実した内容の研究授業でした。授業の振り返りを生徒が書く間に、実習生の「先生」の心から絞り出したお話が多くの人の心に届いたことだと思います。2週間の教育実習お疲れさまでした。実習生の皆さんと授業を受けた茨高生の間での新たな「気づき」が世の中を幸せにして行けますように!