「・・・がする」

いよいよ明日から76期生宿泊野外行事です。学年主任の先生から1年数か月かけて準備してきたプログラムを大事にしていこうというお言葉をいただき、行事委員の方々の「久米島に行きたいか?」という問いかけに、天気を祈って現れたテルテル坊主とともにみんなで一つになる瞬間に立ち会えました。

微力ながら、雨男(責任を感じております。オーストラリアの砂漠の真ん中に史上2番目の雨が降る機会をもたらしました...。)返上のお祈りをしつつ、ご挨拶いたしました。以下はそのご挨拶です。

 早速ですが。簡単なクイズに答えていただけますか。3つクイズを出します。頭の体操だと思って協力してください。英語の知覚動詞をいくつか教えてほしいのです。周り近所の人と話してみてください。see, hear, feel, smell, (taste), observe, notice

 では次に英語で表現するうえでいろんな使い方ができる便利な動詞を3(4という人もいる)つあげるとすれば何をあげますか?諸説あるので、ここでは助動詞のようにも使える動詞3(4)つと言えば何が思い浮かびますか。 do, have, be(get)

 doは疑問文や否定文を作る際、haveは完了形、beは受動態や進行形を使う際に使います。動詞としてはdo「する」have「持つ」be「ある」get「なる」、それぞれ多様な表現を生み出します。

 最後は日本語の問題です。未完成の例文を4つ出すので、do「する」have「持つ」be「ある」get「なる」のいずれかひらがな2文字の動詞を続けてください。

うわぁ、このクッキー黒糖の味が「・・」

みんな、聞いて!どこかで三線の音が「・・」

おいしそう!この近くでサーターアンダギーのにおいが「・・」

最終日、空港で帰りたくないって感じが「・・」

「する」という日本語で皆さん納得ですか?

 1999年4月から7月までの4か月、日本語教師になるための研修を受けました。その当時の東京外国語大学の留学センターでは文法中心ではなく、文型中心型の日本語教授法を採用していました。日本語の授業の中で教授が「味がする」「音がする」「においがする」「感じがする」という表現を取り上げ、なぜ、「味」「音」「におい」「感じ」という形のないものに、はっきりとした主語につく助詞「が」をつけて、はっきりとした行為を表す「する」という表現になるのでしょうか。現地の日本語学習者に説明できますか?教授の問いかけに、みんな必死であれこれとグループで話し合い、様々な意見を戦わせました。最終的には、教授も明確な答えを提示せず、「皆さんがそれぞれの日本語の言葉について様々な自分の持つ感覚とそして自分なりの意見を持っておくことが大切なのですよ。」ということを教えてくださいました。

 研修後オーストラリアで日本語を教え、その生徒たちを日本に連れてきたことを皮切りに、日本の高校生を世界各国へ連れていく中で、それぞれの学校の生徒が旅先で劇的に変わる、多岐にわたって「...がする」を楽しみつくした生徒がその後の人生を広げていく姿を見て「感じる」心、「味わう」力の大切さを感じてきました。

 宿泊野外行事で、見ること、聞くこと、味わうこと、感じること。すべてが皆さんにとっての生活や人生を大きく変える出来事になるものだと思います。「耳を澄まし、目を凝らし、心を研ぎ澄ませて、様々な『...がする』世界を堪能して、これからの人生の大きな第一歩になる出会いがあることを心から願って私からのエールといたします。よい旅を!