入っていいですか?

 校長室のドアがノックされる。5月を迎えた今日、また新たな扉が開いた。78期生の宿泊野外活動の行事委員さんが訪れてくれた。宿泊野外のパンフレットの巻頭言の依頼だ。期限は来週木曜日。心をフルオープンしてsensibleではないsensitiveなメッセージが送れるよう力を尽くしたい。

 以下は、3年前に別の学校で修学旅行のしおりに載せたご挨拶です。コロナ感染症の中でチャレンジした旅でした。                                       沖縄といって皆さんが思い浮かべるものは何ですか?

 きれいな砂浜と青い空、白い雲、強い日差し、紅芋タルト、美ら海水族館。

 きらきらとまばゆい光に包まれた自然、美しい風景に出会える南の島、沖縄。その沖縄は私にとって父の出身地、祖母の命が戦争で奪われた場所でもあります。父は対馬丸(アメリカの攻撃により沈没)の次の船で長崎へ到着し、陸路大阪へたどり着いたという話を聞いています。祖母は父を港で見送った後、1945年戦闘機の機雷砲で撃たれたようです。私が生まれてから小学校に通学するようになるまで沖縄は日本への返還がなされておらず「田舎はどこなの」と問われた時に幼かったこともあり、答えに戸惑った覚えがあります。

 高校2年の夏、父親が多くを語らなかった船での旅を選び、沖縄の地を初めて訪れました。ひめゆりの塔、健児の塔、摩文仁が丘、ガラビ豪。戦争当時の避難生活などの話を聞き、その当時(1980年)、日本の享受している幸せの裏にある多くの命に思いを馳せました。

 大学時代に一度訪れ、3度目が今回(2022年)と同様、修学旅行で生徒を引率しての訪問となりました。1998年の3月から20年以上を経ての沖縄となります。沖縄をどう感じるのか、どう見えるのか、何が変わっていて、何が変わらずにそこにあるのかをしっかりと受け止めて、自分を振り返り、これからの人生に向き合う機会としたいと思っています。

 名所旧跡を訪れ、さまざまな体験プログラムが用意されています。催し物も目に映る風景も風の香りもすべてが心に残る大切なものになることは間違いありません。そして、それと同じくらい、いや、もしかしたらそれ以上に、心許せる仲間とたくさんの時間を一緒に過ごし、そこで話したことがみなさんの心の中でこれからの人生を下支えする未来への贈り物となることを期待してやみません。私にとっては過去を振り返りながら現在の自分と向き合う、みなさんにとっては現在の自分と向き合ったうえで未来の自分への橋渡しとなる経験ができれば空間の移動だけでなく時間旅行をも楽しめる有意義な旅となるでしょう。

 私の目標は、みんな元気に出発し、身も心も元気で帰ってきてもらうことです。そしてこの修学旅行を実現させようと懸命に取り組んできてくださった先生方に生徒の皆さんの喜ぶ顔を見てもらうことです。コロナウイルス感染症のために「あたりまえ」のことができない日々の中、高校に入っての初めての宿泊行事です。一人、ひとりがしっかりとした感染症対策をし、細心の注意を払って沖縄への旅を楽しみましょう。

 「あたりまえ」のことに「ありがたみ」を感じられるたくさんの機会を得て、ご家族にも、そして自分自身の心の中にも抱えきれないほどのたくさんのお土産を携えて、そしてそのお土産が未来のあなたに届けられる日を心に描きながら修学旅行を支えたいと思います。

 この1年後に茨高76期生と沖縄を訪れました。その時に感じたことも踏まえ、Due Dateまでに78期生へのメッセージが綴られればと思います。 

昨日訪れてくれた77期生から一つ依頼を頂いた。入試直前ではなく早い段階からカンガルーを受験の友(お守り、仲間)とできないかという提案でした。GWから折り始めたら6月末までには361頭(匹、個、体)完成するだろうか。希望があるならメッセージを書き込んでもいい。色のリクエストもありなどと昨日から考えている。もしご希望があるなら、朝の生徒玄関でおはようとともにお伝えください。自分を信じること以上に合格への道はない。カンガルーがそのお手伝いができるなら喜んで折り、合格を祈りましょう!

 宿泊野外活動も受験もうまく行きますように!