重い扉

鉄の扉は重い。速く過ぎ去る時。目の前の一瞬の時間も惜しい共通試験前日。その扉を開けに来てくれた。御利益があるという科学的根拠がどこにもないまさしく祈り、願いだけが織り込まれているカンガルー。すべての力を出し尽くしてほしいということだけだ。出来不出来の差が激しい作品たちの色や形を眺めながら手にしたカンガルーをそれぞれ携え、「ありがとう」の言葉をそっと添えて部屋を後にした。

 生徒のみんなのおかげで校長でいさせてもらった。あり続けられた。「ありがとう」はこちらのセリフだ。ささやかな感謝の気持ちだ。奇跡の方程式に欠かせない「感謝」の気持ちだ。                                                 

 明日はただひたすらカンガルーを並べて祈る。3回めの春だ。75,76,77期生、全部で1000(匹、頭、個)のカンガルー。3年間携わらせてもらえたことに心から感謝だ。昨年は再チャレンジした75期生が受験会場でお互いにカンガルーを持っていたことに驚いたという話をしに来てくれた。チャンスの時には前から引っ張り、ピンチの時はそっと後ろから背中を押すような存在になってくれることをそっと願いながら応援しています。

扉は開いた。前へ、前へ!