朝の挨拶をしながら、ふと空を見上げる。音もその姿もとらえることはできなかった。画面の左から右へと続く雲の後。みんなが教室へと急ぐ姿を確認し終え、空を眺めたらもうそこにはいつもの風景しかなかった。懸命に空を飛んだであろうその跡は追えなくなっていた。50KMの道のり、山頂をめざして歩く。歩く行為は終わるけれど、歩いたことは一生心に残る。そして山頂から見る街の明かり、山手台小学校から見る朝の風景は、人生のいつかどこかできっと、みんなを、そっと、その背中を押してくれるだろう。ずっと、押し続けてくれるだろう。
挨拶に夢中だった。全く気付かなかった。でも飛行機は飛んでいたんだ。空高く!