12月16日(月)水谷修さんの講演で改めてリストカットやオーバードウズの科学的な観点からの怖さを知りました。②
オーバードウズ(overdose、略称:OD)については、今の日本の子どもたちにとって特に、市販薬の過量摂取が大きな問題になっていきています。定時制や通信制を除いた全日制に通う高校生の60人に1人が市販薬の乱用=ODを行っているというデータもあります。
日常私たちが薬局・薬店で買える身近な市販薬は、用法・用量を守って使えば問題はないが、咳止め薬や風邪薬の中に含まれているジヒドロコデインは、オピオイド(=モルヒネやアヘン、ヘロインと同じ系統の麻薬)の一種で、この依存性物質を乱用して多量に取り込む=ODしていると、自分の意志ではコントロールできない依存症になり、また、自殺未遂や意識障害、呼吸障害、肝障害などになるというものです。
先日、少し風邪気味で、帰宅時に薬店でいつも風邪気味の時に飲んでいる総合感冒薬を買おうとしたところ、近くにいた薬剤師に「その薬は原則一箱だけの購入しかできません。」と声を掛けられました。別のお店ではレジで、説明をしなければいけない薬の注意書きとデジタルタグが付いていました。
調べてみると、処方箋無しで買える市販薬の「エスエスブロン錠®」や「パブロンSゴールドW®」等の鎮咳去痰剤や総合感冒薬には、コデインやジヒドロコデインといった麻薬が、法律上麻薬とされない濃度1%以下で含まれており、多量に摂取すると多幸感が得られるが、大量摂取で、傾眠、呼吸困難、痙攣発作などの急性中毒症状が出て、死に至る可能性があるとともに、依存性もあるとのことです。
また咳止めに病院の処方薬で使われていたデキストロメトルファンを主成分にする「メジコン®」が、セルフメディケーションの流れの推進やコロナ禍で鎮咳薬の需要が増えたことで、ドラッグストアでも買える市販薬の「メジコンせき止め錠Pro®」として販売されるようになり、適正に使われれば安全なデキストロメトルファンを多量に購入して過剰服用することで、多幸感、幻覚等を生じさせ、意識障害から急性中毒による死亡などが報告されるようになっているそうです。
他にも解熱鎮痛薬(ブロモバレリル尿素)や、抗アレルギー薬(ジフェンヒドラミン)、カフェイン(エナジードリンク)なども乱用の対象となっているようです。
保護者や先生などの大人が知らないうちに、子どもたちが市販薬の過剰摂取をして、中毒症や最悪は死に至るようなことの無いように、現状を知って、見守ることが必要です。