桜咲く!

年に一度、ほんの少しの間だけ美しさを披露してくれる桜。長い時間かけてその桜との入学記念撮影、一生の心の風景になりますように!そしてこの風景が来年も、再来年も続きますように!

本日、第77回入学式を行いました。新入生のために嬉々として会場準備をする上級生の姿に心温まり、また一つ魅力を発見した気がしました。今日の始業式で伝えきれなかった思いは入学式の式辞の6つ目の◎からの部分です。生徒の皆さんの心に届きますように!

以下は77期生への入学式の式辞です。

式  辞

◎ 桜の花びらの淡い色に、ところどころ添えられた緑の葉が命に息吹を吹き込む様子が感じられるこの佳き日に、大阪府立茨木高等学校、第七七回入学式を挙行できますことは、教職員一同この上ない喜びであります。

 本来ならば、来賓の皆様にもご列席いただくところですが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、新入生の皆さんと保護者の皆様、教職員で入学式を行うこととしました。

ただ今、入学を許可しました三六三名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。幾多の困難、試練を乗り越えてたどり着いたこの時を教職員を代表して心からお祝いを申し上げます。 

◎ 本校は、明治二八年に、大阪府第四尋常中学校として創立され、今年で創立一二七年目を迎えます。本校の初代校長、加藤逢吉(かとう ほうきち)先生が定められた校訓「勤倹力行(きんけんりょくこう)」(意味は生活を質素に日々努力して自ら磨くということです)と「質実剛健」の校風は、現在までしっかりと引き継がれています。

◎ また、本校では、「勤倹力行」「質実剛健」の伝統のもと、三つの教育目標として、「高い志の涵養」「枠を超える知性を備えた真のリーダーの育成」「自主自律の精神の育成」を

掲げ、高校生活の中で生徒の皆さんが「本物に触れること」「先輩の背中を追いかけること」「互いに切磋琢磨すること」ができるよう様々な取り組みを実践しています。

◎ 皆さんも、本校の伝統である「勤倹力行」「質実剛健」の姿勢を継承しながら、すぐれた先輩方のあとに続くよう、常に「高い志」を抱き、日々の努力を重ねて学校生活を送ってもらいたいと思います。

◎ それでは、本日、茨木高校の生徒として新たなスタートを迎える皆さんへのメッセージ、そしてそれは同じく一年生として入学した私自身も共有し、心がけたい「思い」です。

◎ コロナウイルス感染症のオミクロン株の変異の状況やウクライナの和平へ向かう道筋も専門家や政治家が懸命に尽力しているにもかかわらずなかなか好転の兆しが見えません。日々届くおびただしい数の情報に心落ち着かず、不安を感じない日はありません。自分の心の持ちよう、置き所を探す中で2つの英単語が思い浮かびました。「心配する」という単語、皆さんがすぐ思い浮かぶ単語はworryでしょうか。ここではAnxiousとConcernという言葉をご紹介します。小さな声でリピートしてください。無理なお願いをしました。すいません。

Anxiousの言葉のエネルギーは、あれこれといろんなものが心の中に詰まった状態を表すようです。ですから「あちらこちら」という意味のaboutという前置詞が後ろにつくと「不安」を感じたり、「心配」しているという意味を表します。ところがこの心に詰まったものが、一定の方向をめざすforと結びつくと「切望する、切に願う」という意味になります。一方concernも同様にaboutとつながると「不安、懸念」という意味になりますが「共に」、「満たす」という意味のwithを伴うと「関係する・関係づける」という意味になります。

◎ まさに、今の時代、経験したことのない様々なことが次から次へと現れ、我々はその問題と向かい合い「不安」を感じ続けています。いろんなことを考え、心配しつくした後、anxiousにforを携えましょう。進むべき一定の方向を定め、切に望み、願い、「高い志」を掲げ、前へ、前へと歩を進めるのです。

「高い志」に向かって歩んでいく際に自分を支えるために必要となるものが「枠を超える知性」です。めざすべき道に進むために極めて行きたい一つのことでも、いろんな分野に興味を持ち、統合するもよし、茨木高校在学中に触れるあらゆることを面白いと感じ、吸収しつくすつもりで全力を傾けてほしいと思います。

そしてconcernにwithを伴って、人と人を、時間を超え、現在と過去、そして未来を、空間を移動し、場所と場所を繋ぎ、結ぶ人となってもらえることを切に願っております。

◎ 最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。

 お子様は、これから「自主・自律の精神」を育み前進することになります。自ら考え、自ら行動できる「生きる力」を備えたたくましい若者に育つことは、保護者の皆様と私たち教職員の共通の願いであります。

それゆえ、学校と家庭がしっかり繋がり、結びつき、同じ方向をめざし、ともに協力し合い、子どもたちに接していくことが、極めて大切であると考えています。どうか本校の諸先輩方が築き上げてきた伝統ある教育方針を十分ご理解いただき、保護者の皆様のご協力とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

◎ 新入生の皆さん、さあ、今日から皆さんは「茨高生」です。

茨高での「新しいステージ」では、まさしく「不安・心配」なことが身の回りで起こるかもしれません。失敗することで心を撃ち抜かれたり、息詰まることがあるかもしれません。漢字の「撃つ」も息詰まるの「詰まる」も部首を「手」「言編」から「糸偏」に変えたら「撃つ」は「繋ぐ」に、「詰まる」は「結ぶ」へと早変わりです。不安に感じたら、誰かと、何かと繋がり、結びついてください。私たち教職員は、皆さん一人ひとりが持っているすばらしい志をさらに伸ばしていけるように全力でサポートしていきます。

◎最後に絶対に忘れてほしくないことをお伝えします。それはがんばっている皆さんを誰かが必ず「みて」いるということです。見学の「見る」。観察の「観る」。診断の「診る」。看護の「看る」。いつも、どこかで、見守ってくれていること、いつも誰かが支えてくれていることです。

今日から始まる皆さんの高校生活が、新しい自分を発見し、実りあるものになることを心から願い、私の式辞といたします。

令和四年四月八日       

大阪府立茨木高等学校 校 長 高江洲 良昌