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1999年5月日本語教師として海外赴任する際に、日本文化を学ぶための授業として、書道、茶道、華道を学ぶ機会があった。東京外国語大学の留学センターで3か月間のプログラムの中で一日かけて、その理論と歴史を学ぶ機会を得、実際に体験もした。興味深かったのは何もない部分、空間をどう意識し、どう使うかによって表現されたものに差ができるということであった。「ない」ということの存在を認めそれを利用する。日本文化を紹介する立場になるということを強烈に意識させられた講義、実習であった。

昨日、生徒玄関のところに花を活けてくれた。生け花として出展されたものを提供してくれたものである。遅い時間まで黙々と時間をかけて設置してくれた。芸術的な価値を味わえる自らの力の乏しさを省みず、その美しさに心がしっとりとした。花そのものの美しさ、そしてそれをみんなに届けようとしてくれた心とその振る舞いの美しさ。生徒の皆さんも朝夕の登下校の際にぜひ、愛でてください。