実は私...

  5月13日(金)PTA総会、後援会総会、PTA実行委員会が行われました。

 総会では富永会長より生徒の自主自律の精神を尊重し、見守っていくというご挨拶があり、後援会での廣野後援会長より生徒の様々な活動への支援に対する感謝の辞と続き、実行委員会まで長時間にわたって議事審議、報告がなされました。実行委員会では各委員会からの報告として、親として子供への向き合い方や行事に対してどのようにPTAとして取り組んでいくかなど和やかなムードの中で、前向きで建設的な情報共有が次々となされました。

  研究熱心で、ひたむきに生徒に向き合う教職員、貸せる力は惜しみなく出し尽くしますとお伝えくださる卒業生、そして子供たちの可能性を信じ、自主自律の精神を育むよう見守っていこうとする保護者の皆様。何よりそう思わせる茨木高校の生徒たち。多くの良き縁に包まれ、育まれ、育つ。そう気づかせてもらえたWeekendとなりました。(実は明日、土曜日も授業...。)

以下は総会での私のあいさつです。

  この4月より山上校長先生の後任として着任した校長の高江洲です。生憎のお天気の中お越しいただきありがとうございます。

 「実は私...」 茨木高校に赴任が決まった瞬間から、赴任して40日を少し越えた本日までお話しした多くの方から出てきた言葉が「実は私...」です。それに続く言葉は「...卒業生なんです。...勤めていたんですよ。...子供がお世話になっていたんです。」関わり方は様々ですが、みな一様にすごく朗らかで、温かいまなざしでお話をしてくださいました。

 4月5日に本校の授業に関わっておられる外部の方々とお話しする機会を得、茨木市役所やボランティアに携わっておられる方々のところへご挨拶に参りました。たくさんの卒業生や関係者の方々と名刺を交換するたびに「何かあれば力になりたい。」という趣旨のお言葉を数々いただきました。今、ご紹介したすべての人に共通しているのは「茨高愛」に満ち溢れているということです。なぜ、茨木高校を愛する人がこれほど多く存在し、そしてそのことを公言されるのでしょう。

 ヒントは、先週の土曜日5月7日に1年生のスプリングセミナーで京都大学を訪問した際にいただきました。ご講演いただいた教授、パネラーとして参加してくれた院生、学部生がみな「ベストを尽くすこと、やりたいことをすべてやろうとすること、そして何よりも楽しむこと」を大切にしてほしいというメッセージを発してくださったことです。部活動、宿泊野外行事、体育祭、妙見登山。自分たちで企画・立案・実施すること、そしてそれをいかに楽しむかがその後の人生の中でいかに役立つかを様々なエピソードを交えてお伝えいただきました。生徒自治、自主自律の精神を育むことの大切さを伝えてくれるメッセージです。

  保護者の方と我々教員がお子様を育てるためのキーワードはNGです。NはNONE、GはGROWです。自主自律の精神を育むためにNONE「何もしない」ということです。「手を離して、目を離すな。目を離して、心を離すな。」言うは易く、行うは難しです。子供たちが取り組んでいるところをずっと見守ること、「もっとこうしたら、この方が効率いいのに等々」子供がやっていることへの否定の気持ちを取り除くことです。NONEの否定文字のNを取ると残る文字はONEです。お子様が取り組んでいる中で、できつつある1つのことをしっかりと捉え、お伝えになること。これが子供の成長につながるのだと思います。英語のGROWは人を目的語にとれません。Grow my kidsとは言えないのです。つまり人は自分で「育つ、成長する。」これが英語のGROWの自動詞の意味です。お子様が成長するのを傍らで見守り、段階、段階で一つひとつお子様にしかないいいところを見つけてお伝えいただくこと、それが自ら成長することにつながる。それを4月1日赴任以来、卒業生をはじめとして出会った様々な方々からご教示いただいていることです。

 コロナ感染症の影響下、まさしく何もできないことがたくさんあった昨年、PTAの活動も同様に非常に厳しい一年だったことだと拝察いたします。今年度は、一回、一回NONEのNを取り除いて皆さんと一緒にONEを積み重ねていきたいと思います。お子様とそして保護者の皆様、我々教職員が力を合わせてそれぞれが個人としてそして組織としてGROW(成長)して行けることを心から願って私からのご挨拶といたします。