OUTの世界

先日、715日(金)PTAの実行委員会の席で「心が喜ぶ」というお話をさせていただきました。朝の挨拶、1000人近い生徒の皆さんとあいさつを交わしていく中で不思議な経験をしています。先日もブログで書きましたが、ほんとにたくさんの笑顔と出会います。日常生活の夫婦の会話の中で芸能人の話をするときには、「顔は浮かんでるけど名前が出てこない。ほらあれっ」といった調子で、衰える記憶力との戦いに屈することが多いのですが、本当に不思議なことに笑顔をくれる生徒の顔、とりわけ表情は覚えているのです。もっと言えば笑顔になる直前の表情を覚えているのです。Heartで受け止めたものをMindに留めているのですね。そう考えていくと漢字の「記憶」の「憶」はりっしんべんに意、心+心で成り立っている文字だということも興味深いです。単語を覚える、短文を覚える、そう指示していたころ、「右脳にいれる、感情を動かす、するとその単語や短文は長期記憶に保存される」と繰り返し、繰り返し言ってきました。どうやら間違っていなかったということを確信させてもらった朝の時間だったように思います。皆さんの長期記憶に入れるためのTipsとなり、心が少しでも喜んでもらえるように願いを込めて、夏休み前のあいさつをいたしました。以下にお示しいたします。

おはようございます。

いきなりですが、英語の熟語、覚えるのに骨が折れますね。基本動詞+副詞、前置詞が組み合わさりさまざまな意味を生み出します。自分が受験生だったころ、熟語は気合で覚えろと言われました。昭和という時代は努力と根性がすべてを圧倒する時代でした。

 自分が英語を教える中で、もっと良い方法はないものかと先人がたどった道をつらつらと探し求めていると、前置詞や副詞そのものが持っているエネルギーが熟語としての意味を表すうえで重要な役割を果たしているということに行き着きました。

 英語は時間も空間も共通でatは点を受け

持ち、一瞬の時間や狭い場所を伴うときに用い、inは比較的広い空間や、仕切りをイメージさせる場所、長期間の期間にでも対応できる前置詞です。forからto, by を通過してatへたどり着く移動の道筋やonが上から圧力をかける話やbyがすぐ側で力を注いでくるなど前置詞、副詞の持つエネルギーを一つのストーリーのようにして熟語を身に着けていく生徒の姿を見て幸せな気分に浸ったことを思い出します。

 しかし、必ず疑問を持つ生徒が現れそのたびごとに我々教師は新たな学びに向かいます。

おおきく立ちはだかった単語はOUTです。「外に・へ・で」などの意味を持つこの単語がrun out / figure out の時に同じ意味を持っているようには思えないとある生徒から指摘を受けました。 run out / figured out の意味をペアで確認してください。Run out

「使い果たす。なくなる」、figure outは「わかる、理解する」の意味です。「外へ」という意味のoutからなぜ全く違う意味が現れてくるのでしょうか。前の黒板をご覧ください。Outのエネルギーは箱の中にある〇が外へ出ていく。シンプルにこの一つのエネルギーで理解ができるのです。視点が違うだけなのです。Aさん、Bさんがの二人が〇の動きを見ています。Aさんは箱の中で○が外に出ていき「なくなっていく」のを眺めることになります。一方、Bさんは箱の外から○が出てくるのを見ているので、隠れていたものが外へ出ていくことによって「わかる・理解する」ことになるのです。前者はrun out, die out, wipe outなど、後者はfigure out, make out, turn outなどです。

夏休みまでの前期を振り返って、自分がしてきたこと、出会ってきたことを箱の中から見て、「使い果たした、なくなった」と嘆いてばかりではないですか。もしつらいことばかりがあったように思うならば、箱の外から眺めてみて、「理解できる、わかる」と自分がやってきたことをほめてやる時間を持ってください。逆もまたしかりです。物事には両面があり、視点を変えることで救われ、いやされることや戒めなければならないことが見えてくると思います。とても忙しい茨高生活、夏休みに少し違う角度から、自分自身や周りの友人、そして自分の歩いていた軌跡に思いを馳せ、夏休み後新たな一歩が踏み出せるよう英気を養ってください。私もこの夏休みに自分の教員生活を振り返り、ブログに書き綴り、読んでくださる皆さんにちょっと幸せを感じる瞬間をmake out したいと思っています。いい夏休みを過ごしましょう。