Go Straight!

古い話で恐縮です。2002年まだ21世紀になりたてのほやほやの時代を思い浮かべてください。オーストラリアから帰国し、日本語を日本語で教えることにチャレンジした経験を生かして、「英語で英語を教える」授業をどうやったらできるか、何を準備すればいいか、そればかりを考えていました。言葉が通じること、心が通うこと、その素晴らしさを体験してもらえることが鍵でした。ユーモアを交えた言語活動が知識・技能の習得に役立つことを理論ではなく、肌感覚で感じていた当時の私は「道案内」をトピックとして生徒にプレゼンをさせていました。笑わせることが好きな10代の若者は寿司屋に案内された客と主人の会話で Guest: I want "Ikura". Host: Here it is! Guest: Oh, no, this is Hamachi.

Host: Oh, I'm sorry. I misunderstood you mean Ikura in English. Guest: That is How much.

というプレゼンをしてくれました。 クラスの中で爆笑する生徒、❓❓❓の生徒それぞれがそれぞれのスピードで学んでいた。最後のグループは道案内のゴールが地下に通じていて最後の一言がGo straight, and you can see...といったところで道を聞いていた方がぶるぶる震えてNo, it's scary!という終わり方をするというプレゼンをしました。文字で追うと落ちが見えなかったのですが、音で想像するとなるほどとうなずけました。2年間、やみくもに走りながらコミュニケーションにこだわりながらやった授業の成果でした。

 地下室で待っていたのは幽霊、Ghost wait!時制も文法も無視ですが、音だけで言えばこの誤解が成り立つのだということがわかり心の底から喜びを感じたことを覚えています。

 9月17日(土)茨木商店街活性化映像の中で幽霊が出るという情報を得ました。10分間の上映でしたが、その中にストーリーがあり商店街で働く人たちの個性をうまく引き出し、その魅力を伝えながらラストシーンを迎えました。体育祭の準備と重なる中で、ゴールを共有し、それぞれの想いを伝えあい、ぶつかることもありながら、完成することができた。そう話してくれる代表の生徒のお話は一生の中でそう体験することのない町興しとの関わり、しかも授業の中で学んだことを生かす貴重な経験でした。10分間の映像のためにかけた時間と労力は映像の力と同じ、もしかしたらそれ以上に作成してくれたメンバーの人生を大きく支えてくれる時間だったのではないでしょうか。

 商店街で登場人物の食べていたものを購入し、豊かな午後の時間を過ごしました。メンバーの皆さまお疲れさまでした。そしていい時間をありがとうございました。また、このような機会を与えてくださった茨木商工会議所の皆さま、そして指令を飛ばしていた家庭科の先生ありがとうございました。

幽霊に会わなくてよかった。