暑い。日差しが強いのでマスクが苦しく感じる。第2中間考査の朝。いつものように生徒玄関の入り口に立ち、挨拶を始めた。チャイムが鳴らない。試験の時間割であることに気づき、開始時刻まで声をかけたいと思い挨拶を続けた。開始を告げる鐘が鳴ったが、いつも気になる数人の生徒が登校していないこと、自転車置き場から駆け込む生徒がいることから、切がいいところまで挨拶を続けようと思いなおす。
暑い。日差しはさらに強くなる。少しぼーっとしてくる。頭の中で、言葉が思い浮かぶ。「早朝、校長、熱中症。」何度も何度も駆け巡る言葉。早口言葉のように頭の中で言葉が躍る。口に出しているのか、心の中で呟いているのかわからなくなっている。朦朧とした意識の中、気になっている生徒の姿が見えた。うれしさのあまり声が出た。「おはようございましょ。」早口言葉にひっぱられたであろう語尾。生徒は一瞬、表情が硬くなったが、挨拶を交わして足早に教室へと向かっていった。
今朝も、定期考査に全力を出し切れるようにという想いを込めて「おはようございます」を投げかけてきた。あの夏の暑さが幻であったかのような気温の低さ、そしてそれを吹き飛ばすようなあいさつの暖かさ、笑顔のふくよかさ、会釈のさわやかさ、季節の移り変わりと心の置き所が変わることで見え、感じる景色の変化。やり取り一つするたびに「あなたが今見ていたページから問題が出ていますように!」「友達と交わしているその会話の内容と試験で出くわせますように」「あなたのくれる笑顔の分だけ点が取れますように!」いろんな思いが「おはようございます」に乗っかっていく。
時間割に応じて登校している生徒の皆さんを時折、窓から眺め、応援しながら書いています。2022年最後の定期考査、残り3日間、思う存分力を出し切って手ごたえを感じてほしいと思います。「みんな、がんばりましょ!」