ATMでお金を引き出すのに戸惑っている様子、表情を見ているとつらそうである。英語で話しかけるとお互い少しブロークンであることに途中で気づき「日本から来た方ですか?」「ここ(んなところ)に住んでいるんですか?」という会話から思わぬ縁が始まることが多かった。海外で住んでいるからこそ、日本から来た旅行者のお役に立ちたいという気持ちが強かったのである。アジア圏からの旅行者(あるいは居住者)は、見た目だけではなかなか区別がつかず、最初のお声掛けをどの言語で行うかはなかなか難しかった。あるとき100発100中に近い、日本在住経験のある旅行者を見分ける方法にたどり着いたのである。
何だと思いますか?特有のしぐさです。英単語で言えば、"Nod" 会釈、うなずきである。遠くからでも「こくっ」と頭を下げると日本在住経験のある方は、ある意味、少し笑顔を浮かべながら、「こくっ」とうなずき返してくれる。それ以外のアジアの方は、「なぜ笑って頭を上下させながら近づいてくるのだ!」と怪訝そうな表情になる。よく起こりがちな文化的なコミュニケーションの差異である。
本日(12月17日)は77期生のB&Sプログラムが行われた。何クラスか見学する中で、留学生とのやり取りで会話がスタートする前に、心の優しい、そして気遣いのできる人たちが、静かにうなずいている姿を見て、当時を思いだした。
お互いの自己紹介、好きなスポーツや、教科、日本の食べ物や、観光スポット、多岐に渡るトピックについて意見交換をしていた。しっかり準備をして意見を言う人、留学生に質問する人、沈みそうになる空気を一気に明るくする人、コーディネートして場を整える人。様々な役割を通してみんなそれぞれの備えに応じたお土産を得ている様子だった。
リモートによるものではなく、直接言葉が交わせていたら、同じ場所で同じ空気を味わえていたら、より強い印象を持てたり、深い理解が叶ったかもしれません。それだけに「もっと」という気持ちを持った人もいたのではないかと見学する教室を移動するたびに、感染症の終焉、そしてこの状況下で実施できる何かを模索することの意義を問いかけました。それでも交わした言葉から通う心のやり取り、収穫は間違いなくあったことだと信じています。(サッカーをサッカーと呼ぶ国とフットボールと呼ぶ国とあったことに気づきましたか。小さなことですがこんなことも学びの第一歩になるのかもしれません。)今日が、皆さんの新しい第一歩になることを心から願って、ほっとスクエアに向かおうと思いま
す。