「交通」 「よ」 の 力

  大辞泉によると「①人・乗り物などが行き来すること。通行。②運輸機関・通信機関により、人・物資などの輸送・移動をすること。③人と人とのつきあい、意志の伝達。」と書かれています。4月11日の「おはよう、はじめまして、さよなら」のブログの中で、「言葉を交わし、想いを通わす。交わす(かわす)、通わす(かよわす)。「よ」が入るだけで心があったかい。」と記しましたが、辞書の定義で言うと③番目の意味になるのですね。

  1月5日、校長室に訪ねてくれた先生。「あっ、何もないんです。姿を見かけたので、新年のあいさつに...。今年もよろしくお願いします。」お正月、混んできたレストランで店員さんが、テーブルのお皿を片付ける際に、「広くお使いください。」という一言。そして今朝、コンビニで持参した袋を出そうとすると、レジの係りの人が「お入れしましょうか。」と手を差し伸べ、「(環境保全へ)ご協力ありがとうございます。」と笑顔で商品を差し出してくれた。交わした言葉は、ほんの少し。通った想い、潤った心は計り知れない。

  2023年、新年を迎えて交わす言葉に心通わす機会を幾度もいただいた。年末、年始、メール、LINE、年賀状、対面。いろんな形で今までかかわってきた卒業生とやり取りをした。3年生の進路資料の巻頭言の中でも書いた思いを叶えて来た人に共通する3つのポイントの3番め、自分が世の中でなくてはならない存在だということに気づく。(この世界のいつかどこかで自分を待っている人がいる。)「いつか、あなたを、あなたでなくては駄目な患者さんが待っているから、その日まで頑張れ!」という声をかけた生徒が長い時間を費やして、研修医として社会に出るという連絡をくれた。文化祭でパリの街を再現していた生徒が都市工学を学び、まちづくりに携わっていたり、アメリカ、テキサスで宇宙と向き合っていたり、起業して教育に携わるもの、もちろん、今、道を行きあぐねて奮闘努力中であると伝えてくれる卒業生もいた。それぞれ、苦しい中で前を向いて進めるのは、交わした言葉が、想いを通わせ、そのやりとりがお互いを支え(てい、てくれ)る大切な梁(beam)になることを知っている。だからお互いが唯一無二の大切な存在だと気づけるのだということを、茨高の卒業生のご講演の中でも幾度となくお聞きしました。

  75期生の皆さん、共通テストまで残すところ一週間となりました。皆さんを支えてくれるのはもちろん自分自身です。そして、1年生の2か月登校が叶わなかったときから時間、空間を共にした茨高生の仲間たち、そして伴走者として寄り添った先生方です。

 最後の一週間、世界のいつかどこかで、懸命に自分と向き合っているあなたを待っている人がいます。振り返らず、前へ、前へ!

 そうだ、314匹(頭)のカンガルーを1月13日までに折ろう!