時間旅行

  ジャイアントロボからディズニーメドレー、千と千尋の神隠しまでの演奏は、小学生になる前の自分自身や子どもたちと過ごした時間、そして―We are the world―では英語があまり得意でない生徒と取り組んだ思い出や文化祭での教員の出し物として歌ったことなどを思い出す機会を与えてくれました。50数年の時間を行き来しながら、演奏するみなさんの今年1年、あるいは2年間の音楽、楽器そのもの、そして演奏について向き合ってきたことに思いを馳せ、演奏がなされていること、かつては「あたりまえ」であった状況に「ありがとう」を心の中でつぶやきながら耳を傾けました。        

  昨日、吹奏楽部の第42回定期演奏会が立命館いばらきヒューチャープラザグランドホールで開催されました。

  3年ぶりのOBOG合同ステージ。様々な時期にコロナウイルス感染症に見舞われ、様々な困難の中で事象と自分と向き合いながら、それでも楽器を、演奏を、音楽を大切にしてきたからこそ立てる舞台、奏でるメロディー。その響きは時間を行き来する揺れよりも大きく心を揺さぶりました。

  演奏の中で、パーカッションの演奏からスタートし、管楽器の圧倒的な音圧の中で、醸し出されるハーモニーの美しさに酔いながらも、ずっとその鉄琴(あっていますか?)を打つ音の力強さが、心を撃ち抜きました。佐渡裕さんから頂いたメッセージ ―[オーケストラは、それぞれが違う役割を果たす最大の音楽集団。それぞれが違う存在だからこそ違いをはっきり認識し、他の人の言葉や演奏に耳を傾け、お互いに認め合い、力を合わせることが大切である。]― がまさに舞台上で繰り広げられていたからです。「もっとうまくなるよ」と仰ってくださった励ましを実現してくれている演奏に、ずっと寄り添ってくれていた保護者の方々、先輩、友人、みなさんが喜んでいる様子が会場で見て取れました。

  「音」を「楽しむ」人が演奏してくれているからこそ、受け取った人もその「音」を楽しめる。シンプルだけれど、ずっとこの3年間 「心から楽しめない」 を抱えながらの世界だっただけに昨日の、「音」を「楽しむ」時間を共有することで心が豊かになっていることに改めて感謝する機会となりました。愛情の詰まったパンフレット、心温まる会場でのおもてなし、そして自ら楽しみ、聴衆に楽しんでもらう演奏をしてくれた吹奏楽部員のみなさん、ありがとうございました。そして、顧問の先生方、お疲れさまでした、そしてありがとうございました。 

                       この3年間の時間旅行もなんとか着陸が叶ったような気がします。日常生活が心安らかに送れるような次年度になりますように!