「私」から「あなた」、「あなた」から「私」

 昨年度末、UPしたブログについて、卒業生の方からお手紙をいただきました。お読みいただいたうえに、ご感想までいただけたことに、心から感謝しております。拙文ですが、今年も、学校の中での様々な情報や感じたことなどを綴ってまいりますのでよろしくお願いいたします。

令和5年度 前期始業式を行いました。

マスクの着用と働き方改革に伴って学校として取り組むべき内容についての2点をお知らせした後、ご挨拶をしました。

以下は、式辞です。

 昨年度末の終業式では「瞬間」Moment「時間」を大事にしてくださいという話をしました。今日の式では、「人」を大事にしてほしいというお話をさせてください。

 いつものスタイルですが、皆さんの力を貸してください。

 みんなが英語の先生やったとして生徒から三単現のS、複数形のSってどう違うのかという質問が来たらどう答えますか?ちょっと近くの人と話をしてもらえますか?

 私はこう質問されたときに、「気合で覚えなさい。何度も口にして違和感があるようになればいい。」など極めて、前時代的な指示をしてしまいましたが、よく考えるとこの疑問はちゃんと伝える必要のあるものだと思い、先人の書かれた書物を読み、自分なりに考えてたどり着いたところは「一つではないよ。」がメッセージ。複数形は名詞が2つ以上あるのでわかりやすいですが、3単現のS。単数形という名前があるので困るのですが、―She speaks English.―が伝えようとするメッセージを考えればわかること、「(普通英語話すよね)always, usually, oftenなんか書かない。一回ではなく、繰り返し、日常的に話す。」というメッセージ。複数回起こるということが伝えられている。

 つまり、複数回(個)起こることには、sをつけるのが原則。とすれば、世の中の状況を考えれば、唯一無二のものより、複数個あることが普通。3単現のsをつけると習いましたが、実は、IとYouだけが人称代名詞の中で動詞にsをつけないことを許されていると考える方が無理がないのではないかと考えました。

 Iは大文字表記、youは単複同形。世界中で一人しかいないI、そして世界中で一人しかいないyou。sをつけなくてもいい特別な存在である人を大切にしてください。

 実は、今も私は、「私」、大文字のI~から皆さん一人、ひとりのYou「あなた」に語り掛けているつもりです。一人、ひとりの「あなた(たち)」Youです。この茨木高校というところで2023年度に2年生、3年生として巡り合った人たちです。

 日本語を教えていた時に、オーストラリアの生徒にこう教えていました。「五十音」ってすごいんやぞ。最初の「あ」行と最後の文字の「ん」で、人生で一番大事なものすべて語れるんや。(もちろん最後はたどたどしい英語で説明します。)案、因、運、縁、恩。いい「因」があれば、いい「縁」に恵まれ、「運」が舞い込んでくる。そこにいい「案」が浮かび、それはずっと循環する。ただ大切なことは「恩」を忘れないということ。感謝を忘れないことが重要だと説明しました。

 ぜひ、いただいたご縁や幸運を大切にして、目の前の人と話し合いの中で生まれた「案」を、そして自分自身である「因」を大切にしてほしいと思います。宿泊野外、体育祭様々な行事で話し合いをするときに「課題」(task)を明確にして、役割を決めて達成をめざしてほしいと思います。そしてそのtaskは「私」から「あなた」、「あなた」から「私」へ受け渡されるもの、共有するものという認識を持ってほしいのです。Taskという単語に、「私」Iと「あなた」You(U)を入れてみてください。お互いが預け、預けられるものに気づきましたか。ローマ字になります。TasUkI、「襷」(タスキ)です。授業、行事、課題研究に取り組みながら、「私」から「あなた」、「あなた」から「私」へ数多くの、色とりどりの「タスキ」TasUkIが受け渡される機会を見守り、応援していきたいと思います。佳い一年になりますように!