場の力   Grateful! Great Graduates! GGG(5)

京都大学、学生時代には全くご縁がなかった。定年までの最後の約15年。生徒のみなさんとのかかわりで訪れることが多くなった。凛とした雰囲気、すがすがしさを感じる空気、たくさんの素敵な場所がある中で、私は百万遍の交差点から入るこの場所が好きだ。(自転車が数多く置かれているのもいい。静かな空間で満ちあふれるエネルギーを感じる。)それは毎回、ここから入る際に感じる未知なるものに対するドキドキ感が、生徒たちが今までにはない何かをつかみ取り、そこから何かを生み出す力を得たという確信を携えてこの場所を後にするからだろう。

4月22日(土)78期生スプリングセミナーが京都大学時計台記念ホールで実施されました。

京都大学大学院薬学研究科石濱泰教授、大学院で学ばれている池美乃里様、大学在学中の猪狩翔太様、杉本陽香様、4名の卒業生のお力添えをいただきました。石濱教授よりご講演を、4名の方、皆様に「茨木高校、学びのつながり、これからの必要な力について」というテーマでパネルディスカッションをしていただきました。詳細については、スプセミ委員の茨木高校の近況ブログでの報告(昨年、私が先走りましたが圧倒的に生徒のみなさんのブログの質が高かった経験を踏まえての判断です...。)にお預けし、ここでは私の驚きと感謝の念を綴りたいと思います。

 石濱先生のご講演の中では、高校時代の学びについての克明な描写を通じて高校時代の授業がいかに大事かということ、学びと向き合っていくという点で本当に自分が何をやりたいかは簡単には見つからないというメッセージ、ご自身が描いたロードマップについてお話ししてくださいました。また、Big Dataに関するお話もしていただき仮説を立てて、原因を追究していくことの重要性にも触れていただき「探究学習」のヒントもご示唆頂きました。

   

パネルディスカッションの茨木高校についてのテーマでは生徒会執行部として企画、運営に携わったことでミニ社会人を体験できたこと、好きなことを好きなだけやること、多くのことに挑戦するには必ず射程圏内におくことをお伝えいただいたり、カンボジアへの宿泊野外研修のお話、最終的に中止という結論に至った体育祭の実施の可否についての議論を通じて茨高生が自分たちで学校を運営していたという経験を話されたりしました。これから必要な力として、コミュニケーション能力がとり挙げられ、自分の意見をうまく伝える能力をつけること、そしてそのためには自分はどのくらいの自分なのか、自分が持っている何が一番大事なのかということを把握していることが大事だというお話、世の中の変化のスピードが速いからこそ、自分で思考し切る力を磨き、自分が何者であるかを見極めることの大切さを説かれた。またこれからは一本の細かいことが網羅された、深い柱と広く浅い知識があるT字型人材が求められていること、そしてさらにもう一本柱を擁したπ(パイ)字型人材が求められていることを示唆された。

 全体を通じて私にとって一番印象深かった点は、それぞれのみなさんが発言されている内容を、発言される際に実演(実際に行っている)、つまり、プレゼン内容を体現されている場面に直面していたことである。これには、本当に驚いた。(双方向型の学びというタイトルで1時間講義を受けるなどとは対極)。アクシデントがあった際に、思考し切る力、自分が何者で何を伝えるべきか、その時その時の判断で最適なものを、相互の状況を感じながら補完し合うお姿を拝見、拝聴しながら、改めて茨高生のふくよかさ、奥深さに触れる瞬間をいただきました。卒業生のみなさんの土曜日の貴重な朝の時間を、石濱先生におかれましては、前日の夜、海外より帰国・帰阪されるという過酷なスケジュールの中でお運びいただき、お力添えいただいたことを心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 そしてスプセミ委員のみなさん、朝の集合時から皆さんの動き、準備、運営、清掃、後片付けの様子を見ながら、ずっと幸せを感じていました。委員の皆さんのきびきびとした動き、絶妙な司会、副委員長の開式のあいさつ、そして委員長の会全体をきめ細やかに観察、そして心動いたことへの描写が丁寧に、誠実になされていた閉式の言葉にも感銘を受けました。ありがとう。

 お力添えいただいた京都大学の関係者の皆さま、ありがとうございました。係の先生方、お疲れさまでした。