2023年度終業式。最終日。伝えたいことがたくさんあった。一つには決められない。夢をあきらめないこと。しっかり理由を持つこと。回り道をすることを厭わないこと。懸命に頑張る人に敬意を払うこと。なくてはならない存在だということに気づくこと。百数十本のブログや集会のスピーチで伝えたかったことです。前回の集会では出なかった声も歌えるまでにのどが回復しました。60歳でも体はまだよくなろうと懸命に前へ歩む。前へ!

以下は終業式の式辞です。

♬ 曲がり~ ♪ (ワンフレーズ歌わせてもらいました。)

21世紀に入って間もないころ。英語の教師で、進路の担当だった私は、音楽の先生の依頼で英語の歌を歌うアドバイスをすることになった。発音がうまくない自分の英語のアドバイスでいいのかと躊躇しながら、前回の集会で話した「この世界のいつかどこかであなたじゃなきゃダメな人が待っている」というような話をした。

授業が終わった後、1人の生徒が進路の部屋で待っていた。歌手になるつもりだと話す。曲を書いているという。自分の歌詞を英語にしてほしいとの依頼。作った曲を聞かせてもらえるようにお願いし、後日曲の入ったMDを持ってきてくれた。それを手渡すときに、「担任の先生からせっかく勉強もでき、成績もいいのだから夢みたいなことは言わないで、受験勉強を始めなさい」と言われる。友達も応援してくれる子ばかりではなく、蔭では「無理やって」と笑う子もいる。そう話しながら表情が歪む。今にも泣きだしそうだ。「世界はずっと人から変わっていると言われたり、笑われたりする人が作ってきた。懸命にやっている人を馬鹿にしたり、笑っていたりする人はずっと自分を安全なところにおいて評価ばかりしている。そんな人になるより、自分の夢を追って笑われたらいい。私もこの後、担任の先生のところに行って夢を追わせてくださいと言いに行きます。きっと、進路部長、なにもわかってないなと笑われると思う。笑われながら一緒に世の中作ろう」。と言った。彼女は顔を上げて、にっこり笑ってコクッとうなずいた。その年の3月本格的なデビューに向けて東京へと旅立ち、私は転勤となった。月日が流れた秋のある日、MDの中で聞いた曲がCMで流れた。その年の年末、歌手として一生に一度しか取れない賞を獲得した。

生徒から人生について問われたとき答えに迷う。いつも迷う。先日行われた音楽会の歌の中にそのヒントがある。2曲の歌詞を読みます。

♬ Not Answer the questions But Solve a problem ♪

♫ Rainbow we can see after some rain ♪

あってるのか、間違ってるのか何が正しいのかわからないけれど追いかけたいことがある。雨が降ってるけど、その雨は命の源だから、その後には虹がかかるから、空を見上げるから、雨を凌ごう、雨を受け入れよう。

追いかけたい夢がある。そこには理由がある 何かそうしたい理由がある それだけでいい。そうありたい そうなりたい 理由がある。理由、自由に共通の文字、「由」この「由」がはっきりとすればあなたたちの思いは「届く」。そしてその自分を走らせる車が見つけられればそれが「軸」になる。「正しい」ことだけに行き詰ったら上の棒をとる。そしたら止まる。その棒を「由」の中に突き刺す。そしたら「曲がる」。曲がって色んな道を行くからこそ、止まることがある。少し止まって、立ち上がる日を待つ。自分の心の音を聞いて歩みだす。曲がって色んな道を行くからこそ奏でられる曲があり、心が豊かになる。その心に下支えされた音、「意」が、自分がやりたい、なりたい何かに対する理由となって、軸を作り、夢を叶える土台となってほしい。

固定観念の「固」、外枠の四角をぶち壊して、中の「古」いという漢字を右に倒す。そこに口に+の叶えるという文字が見いだせますか?

曲がりくねった道の先に光を見出すことができるように、まだ遠くて見えなくても一歩ずつ歩いてもらいたいと思い2023年度最後のお話をしました。皆さんの心に届き、軸となるとを心から願い終業式の言葉とします。