Big Hands!

 番号を言い返事をしてもらう。近くまで行って一人ひとりの名前を呼ぶ。名簿を記録しておき一人ひとり目視をする。様々な方法、形式で点呼がとられた。みんなで協力して点呼をとれたクラスは完了後拍手が沸き起こった。4月27日(土)司会から点呼を促された各クラスの係りの生徒の様子、スプリングセミナー(スプセミ)の冒頭の一ページだ。自分たちの行事を自分たちの力で進めていこうという姿勢の表れだ。

スプセミの目的

1.学問に取り組む姿勢と意欲を育む。議論をして学びに対する視野を広げる。            2.進路意識と学習の目的意識を持つ。自分の将来や目標について考える。             3.茨高生になる。

 生命の科学 --タンパク質をはかりまくる― 京都大学大学院薬学研究科教授、本校37期生の石濱泰先生から3つの目的をうまく鏤め、溶け込ませながら、参加者が受け入れ、受け止め、取り入れやすい形でご講演してくださいました。高校時代に受けた授業、昭和という時代の個性的な先生方の授業、そしてそれを受け(入れ)る包容力豊かな生徒たち。様々なエピソードをお話になりながら、電気分解の授業と出会い、担当の先生から電池が点くか点かないか好きなだけ実験していいと言われたこと、フレッシュな時にいいものに出会うことの大切さについて触れられました。このご経験が、この後、一般的に逆風だと思われる進路選択の際に自分に対して問いかける大切なポイントになる。高校時代に出会った一瞬が一生を支えることになるという強いメッセージを頂きました。79期生へのメッセージの中で書かれていた ―「どんどん前に出て、めいっぱい楽しんで欲しい」-- 先生ご自身が身の回りで起こることを常に前向きにとらえられ、就職や留学に際して、はがきやメールを自ら書き、臨まれたこと、そこから生まれた出会いの中でさらに前へ進む推進力を得られていること、その根幹に楽しむことがあるということは参加した生徒のみならず先生方にも示唆に富むご教示であったと思います。「タンパク質最高―Protein, the best!」先生が研究についてお話されるたんぱく質の性質やその可能性について言及されるのを拝聴しながら、タンパク質を聴衆である「高校(茨高(79期)生」と置き換え、壮大なエールとして受け止めました。

 石濱先生のご講演の後は68期、73期(お二人)の3人の大学院生、大学生の方々をお招きし、学びのつながり、学びの深まり。2030年に身につけたい力。発信力、自己表現力の3つのテーマについて石濱先生を交えてパネルディスカッションを行いました。

 学びのつながりという観点では、高校時代に広く学んでいることは専門的な分野を大学、あるいはその先に必要とされる様々な知識、技術を積み重ね、磨いていく上で大きな裾野となること、世の中では広く浅く精通する知識と専門分野に突出したT字型人材、さらにπ字型人材が求められていくことについて示唆頂きました。

 2030年に身につけたい力についてはどんどん速くなる社会の変化をしっかりと捉えること自分の価値観と違う他人の価値観を認めること、0から1を創り出す力が必要であるというやり取りがなされた。発信力、表現力についてはスキルとして身につけることの大切さを共有した上で自分の軸を持ち、何を発信するのか(発信したいと思うこと、その中身)ということが第一義にあり、そのために自分をしっかり磨くこと、哲学的な論理能力を有し、抽象的なことをはっきりさせる文章力を身につけることの必要性について様々な観点から議論がなされました。何よりも心躍らされたのは同じ舞台に立つ79期(1年)生が緊張する中で自分の思いを吐露する場面に出会えたことです。この会場全体が違う立場でありながら、学ぶという一つの価値観の中で一体化していた様子に立ち会えたことが何物にも代えがたい一度きりの最高の時間でした。パネルディスカッションで論じられていることがそのままご発言されることで実際に示されるような場面はそう頻繁に訪れるものではないことを承知しています。4月8日に入学式を終えた79期生は3週間足らずで委員で想いを共有し、講師の先生、パネラーの方に目的をお伝えし、ご理解いただきこの会の成就が叶ったとするならスプセミ委員のみなさんの果たした役割は私の力では表現し得ないほど大きなものであったと確信しています。(発信力、表現力が目的であったのに力足らずで申し訳ありません。)委員長、副委員長、ファシリテーター、パネラーとして役割を果たしたみなさんをはじめとするスプセミ委員のみなさん、お疲れさまでした。そしていい時間をありがとうございました。自分たちが作り出した行事、そしてこれから作っていく行事、今日の時間、経験が皆さんの高校生活の良いスタートなったことに心が躍り、弾んでいます。よい3年間となりますように!

 土曜の朝という貴重なお休みの時間を下さった石濱先生、卒業生の方々、本当にありがとうございました。自分の感謝の念を伝える表現力の力がここでも不足していることをご容赦ください。京都大学時計台ホールのスタッフのみなさま、付き添ってくださった先生方お力添えありがとうございました。(様子を見に来てくれた75期生にも大感謝です。)

 (数々ある名場面の中の一つ、最後の最後に73期生のパネラーの方がスプセミ委員のみなさんに拍手をお願いしますと仰った場面。茨高らしい。帰り道スキップしたい気分になりました。ありがとうございました。)

←打ち合わせの様子。この積み重ねがあの時間へとつながったのですね。