朝晩、国旗の降納をする。日本の暑さに戸惑い、汗をぬぐいながら旗越しに空を見上げる。茨高から見える、広く、青い空だ。
ポールから対面の木の間に光るものを見つける。どうやら蜘蛛の糸のようだ。蜘蛛の大きさを考えると向かいの木までの距離はとてつもなく遠いように見える。生物学的にどのように糸を繋ぎ、紡いでいくのかはわからないが蜘蛛はやり遂げたのだ。合宿に行くクラブ、おそらく夏休みの終盤に行われるであろう大会やコンテスト、展覧会への出展、朝早くから、登校しそれぞれ自分と向き合っている数多くの生徒がいる。目標は遠く、届かないように感じ、歯がゆい思いをしている人もいるだろう。
蜘蛛は糸を繋いだ。やり遂げた。昨日の朝、見つけた糸は、強い風が吹く中、揺れながら、でも、今日も光っていた。